第拾陸話、一瞬 ページ17
料理も綺麗に平らげた後、暇を持て余していたナオミと鏡花がババ抜きを始め、徐々に人数が増えてババ抜き大会が開催されていた。
現在五回戦目。
参加している者は鏡花、谷崎、ナオミ、Aの四人だ。
その周りには観客として敦と乱歩、賢治がいる。
「はい。上がり〜」
「またですか！？」
「Aさん、相変わらず強いですわね」
数字が揃ったトランプを机に置くAは後頭部で腕を組み、得意げに笑う。
五回戦中五回とも、Aが一番最初に上がっている。
Aはこういったカードゲーム、また盤上ゲームを得意だ。探偵社の面々で人生ゲームをやったことがあったが、億万長者で一番にゴールインしていた。
以前、太宰とオセロでいい勝負をし盛り上がったのは記憶に新しい。
上がってはいるが、Aより先に上がれずにいる鏡花は鋭い眼差しを向ける。
「次、別のゲームで私と勝負」
「いいよ。受けて立つ」
余裕を表す姿は少し大人げない。
すると、乱歩がAの頭に腕を置きながらと口角を上げた。
「じゃあカーゲームで勝負したらいいじゃん」
え、とAが固まる。
対して鏡花は聞き慣れない言葉に首を傾げた。
「カーゲーム？」
「
「乱歩サン何語で話してるのかな。俺ちょっと理解できない」
「確か以前買いましたわね！探してきますわ」
「ナオミ待って、まじで待て」
「賢治くん、Aさん抑えて」
ナオミの腕を掴もうと慌てるAの手を賢治が「はーい」と元気よく机に抑える。トランプが下敷きになっているが、誰も気にしていない。
悪ノリする谷崎兄妹と乱歩を恨めし気に見上げるAの姿に、敦はついつい笑ってしまった。
とんとん、と誰かに肩を叩かれる。
振り向けば、酒の席から抜け出してきた太宰がニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら小声で話す。
「今なら彼の写真を撮れる
手にはいつの間にか写真機があり、それを渡される。
敦は苦笑するも、以前彼だけ写真を撮れなかったので、その場からそっと離れて写真機を構えた。
レンズに映ったソレは、太宰の言う通り最高の絵だった。
楽しそうに笑い合っている光景。
この日、この時、この一瞬しか切り取れない。
こんな日々が続くようにと願いながら、敦はシャッターを切った。
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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました！続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (
レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです！ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！ 更新楽しみにしてます！ (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RANA
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時：2020年8月2日 13時
