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混沌と抗う者とは。 ページ12

No side


骸砦では激しい戦闘が繰り広げられていた。

芥川の『天魔纏鎧』は解けてしまい、ただの外套へと戻る。次の攻撃を防ぐ間もなく、澁澤の蹴りで後方へと飛ばされ、瓦礫と激突した。


次に『夜叉白雪』が澁澤に斬りかかった。

だがこれも澁澤にとっては想定内。
刃を跳ね返し、芥川とは反対側にある瓦礫へと飛ばす。


その場に立っているのは鏡花、ただ一人。


「君達の生命の輝き…確かに受け取った。だが、その輝きでは足りんな」


不敵な笑みを浮かべ、鏡花に襲い掛かろうと飛び上がる。

毒々しい赤色の鋭い爪が目の前に迫る。


青白い閃光がそれを防いだ。


閃光は地面を抉り、爆風で土埃が吹き荒れる。踏ん張る鏡花だが、思わず目を瞑り身を守るようにして腕を構えた。


「"龍虎"とはよく言ったものだ」


直撃を避け、距離を取る澁澤は愉快そうに言う。

舞う土埃の中に見えたのは、巨体な獣の影。


「君の存在を私に告げた露西亜人は言った。龍が異能の持つ混沌_本来の姿だ、と」


獣の影が蒼く光り、人の姿をへと変化する。


「ならば、白虎を纏う君は、凡ての異能に抗う者だな」


そこには『月下獣』を取り戻した、半人半虎となった敦がいた。


敦は静かに澁澤を見据えた。
その表情、目は、前とは全く違っていた。


「また私をころすのかね?中島敦くん」

「あるべきものをあるべき場所へ戻すだけだ」

「勘違いするな。責めているわけではない」


敦と澁澤の戦闘が始まった。

両者ともに、一撃一撃が強烈だ。


澁澤は歓喜に震え、「いいぞ敦くん!」と叫ぶ。

やはり彼は特別だ。
彼の生命の輝きは、他とは比べ物にならない。


敦の拳が澁澤の顔面にめり込む。それでも笑みを絶やすことはなく、むしろ笑みは更に歪んだ。


「もはや退屈とは無縁だな!」


澁澤が敦を蹴り飛ばす。
地面が削られ、再び土煙が上がった。


芥川と鏡花_『夜叉白雪』も加戦する。

しかし先程と同様、攻撃の刃は全く届かない。芥川は地面にたたきつけられ、『夜叉白雪』は切り裂かれて消失してしまった。


「白雪!」


鏡花は吹き飛ばされ、建物の残骸に衝突する。


衝突しなかった。
衝撃に備えて閉じていた目を開ける。

何故なら、敦が鏡花を受け止めていたからだった。

揺らいだその先の覚悟とは。→←その輝きに、とは。



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RANA(プロフ) - 夜月銀桜さん» ありがとうございます!再更新の日にまたお会いしましょう!! (2020年1月30日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
夜月銀桜(プロフ) - お疲れ様でした!また10を楽しみにしています! (2020年1月29日 21時) (レス) id: 8b1129a01c (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ぴのさん» ありがとうございます!!徳永は相変わらずのおにぎりキャラメルペースです!←この子はずっとこんな調子です←←あともう少しで終結へ…それまでよろしくお願いします。 (2019年12月11日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - RANAさん続編おめでとう&スター作者おめでとうございます!徳永ちゃん相変わらずマイペースね……性格がぶれないからほんとに好きです! (2019年12月9日 15時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - I am gotさん» ありがとうございます。期待に応えられるよう頑張ります! (2019年12月9日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2019年12月5日 16時

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