【文スト】参謀とは。白編【DEAD APPLE】

この世にばいばいとは。 ページ42

No side


「A...くっ」


電流が流れるような鋭い痛みが太宰の全身を駆け巡る。

膝に手を当て、倒れそうになるのを堪えた。


『鍵は閉めた、筈でしょ？』


ナイフを気にしながら首を微かに動かし、ドストエフスキーを睨んだ。


ドストエフスキーは笑っていた。
痛みに耐える太宰を見下ろし、ひどく面白そうな、その中には嘲笑も含んだ表情を浮かべていた。


「なるほど...ここで裏切りか...」

「言ったでしょう、余興は多い方がいいと。貴方が余興ですよ」


ドストエフスキーは最初から手を組んでなどいなかった。

手を組んだと思わせ、裏では手の中で操り、利用していたのだ。
鍵も掛かっていない。


"掛かっている"と見せかけた。


「...それで、次は、如何する」


太宰が床に倒れ込む。

苦しそうな息をしながらも、挑発的に澁澤を見上げた。


「次はない。目的の異能はもう見つけた」


澁澤が軽やかに手を閃かせた。
爛々と目を輝かせ、太宰を見下ろす。


「最初から私の狙いは君一人だったんだよ」


問題(クイズ)の答えをやっと言えたような満足感を顔に露わにした。


Aが眉を顰める。

対して太宰は自分の事の筈なのに、興味も何も示さなかった。


「こんな果物ナイフじゃ痛いだけかと思ったが...毒か」

「致死性の麻痺毒だ」


澁澤は嗜虐的な笑みを向けた。


「味わえ。君が待ち望んだ"死"だ」


指一本、まともに動かすことが出来ない太宰。


そんな彼に、死に誘う死神の如く囁いた。


『ふざけんな』


微かに聞こえてきた、擦れた声。
その声には怒りのような感情があった。


主はAだ。


ドストエフスキーが目を向けると、表情は見えないが肩がふるふると震えていた。


『そんなんでくたばる達じゃないでしょ？さっさと起き上がってよ。



＿＿ねぇ、太宰！』


擦れていた声は叫び声に変わった。


"怒り"ではない、それは完全なる"焦り"。

今迄見たことのないAの姿に、ドストエフスキーが笑みを深めた。


「良いものが、見れたよ」


それでも太宰は笑みを浮かべたままだ。

視界が少しずつぼやけていく。


「毒が回ってるから、か。気持ちいいじゃ...ないか」


太宰の瞳がゆっくり閉じられた。

ことり、と身体が力を失う。


太宰の、絶命の瞬間。


『太宰ッ！！』


Aが名を叫ぶ声が、ドラコニアで響いた。





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テストしてました(白目)

今日から更新再開です。

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