【文スト】参謀とは。白編【DEAD APPLE】

予鈴とは。 ページ13

眠気は完全に無くなった。

代わりに額がヒリヒリと痛い。


机に突っ伏していた顔を上げ、中也を睨みつける。

思いきり逸らしやがった許さん。


普通ボールペン投げて起こす？


「では、話に戻ります」


周りの人も慣れてるのか、すんなり資料に目を向けた。


...少し寂しいわ。
もう龍くんに関してはこっち見てすらいなかったもんね。


痛む額を抑えながら私も資料を見る。


「話を聞いて判ったと思いますが、この霧が出現した後、異能者は自分の異能によって死んでいます。
異能特務課は、この一連の事件を"異能力社連続自 殺事件"と呼んでいます」


自 殺、ねぇ...。


包帯が頭の中駆けずり回ってるとか知らない。
頭を振って追い出した。


「それで」と艶やかな声が会議室に響いた。

姐さんがスクリーンを見据えている。


「この首謀者が誰か、判っているのかえ？」

「はい」


ピリッとした空気が漂う。

中也は先程よりも表情が強張っている。


画面が音を立てて切り替わった。


「この男は澁澤龍彦。蒐集者(コレクター)と呼ばれています」


白い髪に赤い瞳の男＿＿澁澤が映し出された。

...懐かしい顔だな。


6年前の龍頭抗争が頭の中で蘇る。

裏社会では知らない者はいない、有名な話だ。


「奴の異能力は、この霧の中にいる異能力者の異能力を具現化します。そして具現化した異能は所持者を襲い、殺します」


何人かの目が驚いたように見開いた。


中也は全員を見渡した後、中央にいる人物に目を向けた。
いわずもがな首領だ。


「如何いたしましょう」

「...Aくん、君の意見を聞きたい」


げっ、私かよ。


全員の目が首領から私に移った。


わー私めっちゃモテモテ。
皆目怖いけど。


『...まずは奴が身を隠してる潜伏先を探しましょう。この街には幾らでもありますから...龍くん率いる遊撃隊を中心にしていった方がいいかと』

「ふむ、ではそうしよう」


首領の瞳が怪しく光る。


「夜が汚されない為には、常に先手が勝たなければならない。









我々ポートマフィアはこの男を見つけ出し、排除する」

白陣営ver.徳永のイラスト4(※付け足しました)→←眠気と戦う会議とは。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す