黒獣の主とは。 ページ39
No side
熱された鉄が真下でぐつぐつと煮え滾っている。
『羅生門』との戦闘で落ちそうになった芥川だったが、もう一段下に架かっていた通路に掴まり落ちずに済んだ。
命は助かったが、この状況下で『羅生門』の攻撃の手が緩む事はない。芥川は『羅生門』を睨み上げる。
予想通り、『羅生門』が黒刃を撃ってきた。
芥川は手摺を利用してそれを躱し、通路に這い上がる。
しかし、その黒刃は下から芥川を貫こうと下から突き上げてきた。そのまま左右に分かれ、通路を切断する。下に落ちる前に、上に架かっているもう一つの通路に乗り移った。
切断された通路が溶鉱炉に落ち、鉄が焼け溶ける匂いがした。
着地した瞬間、黒刃が無数の刃となって襲ってきた。何とか避け続けると、通路が攻撃に耐えられなくなり破壊されてしまい、またしても切断された。
網を掴み体制を整えるが、休む暇もなく『羅生門』は間合いを詰めてくる。
飛び掛かってきた『羅生門』を、芥川は至近距離まで引き付け、腹を殴って後方へと飛ばした。
「狙い通りだ…」
溶解炉へと沈む『羅生門』を見つめながら呟く。
これで身体は溶け、異能石も砕け自身に異能が戻ってくるだろう。
そう思っていた。
期待を裏切るかの如く、『羅生門』は溶解炉から姿を現した。鉄を溶かすほどの灼熱の中でも、平然とした姿で芥川の方へ向かってくる。
「僕の異能ならばそう来なくてはな…」
「だが、」と懐から黒く染まる球体を取り出した。
『羅生門』が通路に足を着く。
そのまま芥川の居る場所まで昇ろうとしたが、数歩目で両脚が動かなくなった。
溶解炉に沈んだ時に付着した溶けた鉄が、通路の鉄を溶かし、それがゆっくりと冷えて『羅生門』の脚と通路を協力接着剤のようにくっつけたのだ。
「彼奴のを使う事になるとはな」
安全装置を口で外す。
芥川が手に持つソレは、Aとの別れ際に自分が持っていた物と交換した時に渡された手榴弾だ。
『羅生門』が黒刃を飛ばす。それを掻い潜り、通路の傾きを利用して滑り落ち、『羅生門』の腹の中に手榴弾を捻じ込んだ。
瞬間、中で爆発が起こる。
そして中にある赤い結晶が砕け散った。
芥川は通路を蹴って上の階へと飛ぶ。
「それでいい。お前は其処にいろ」
その背には、芥川の元へ戻った『羅生門』が遠吠えを上げていた。
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RANA(プロフ) - 月影のアリスさん» え、あ、え、い、いいんですか!?(( それはもうぜひ!!お願いします!!! (2020年1月29日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
月影のアリス(プロフ) - 徳永ちゃん描かせていただいてもよろしいですか? (2020年1月28日 21時) (レス) id: 8ac6197a54 (このIDを非表示/違反報告)
紅翡翠(プロフ) - RANAさん» どうぞどうぞ載せてください!!キャラメル気がついて頂けたんですね(〃▽〃)更新頑張ってください! (2019年9月19日 0時) (レス) id: a6376c4245 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 紅翡翠さん» おにぎり食べてドヤ顔してる徳永めちゃ可愛いです!ポケットにはさりげなくキャラメルが…!ありがとうございます!!もしよろしければ小説にのせてもいいでしょうか? (2019年9月19日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅翡翠(プロフ) - RANAさん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/4/a/2/4a22a73a582ac871202ccf3647d37b53.jpegこっちがアナログです!http://uranai.nosv.org/img/user/data/1/3/0/130135aa9b79aa3a66aefa33239f3ca0.png2枚目はデジタルです!拙い絵ですいません…々上手く貼れてますかね? (2019年9月18日 15時) (レス) id: a6376c4245 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年12月18日 0時