【文スト】参謀とは。黒編【DEAD APPLE】

抗争とは。 ページ3

No side


何処へ行っても聞こえる銃声。
道路に横たわる死体の山。

地獄絵図という言葉では収まりきれない程、現状は悲惨なものだった。


織田は大通りに出て、その有り様に思わずため息をついた。


「うんざりだな。右を向いても左を向いても死体の山だ」


そう呟いた直後、この場では聞こえる筈のない声が聞こえてきた。

子供の声だ。
織田は小走りでその声の方へ向かう。


着いた先には横転した車と男女の死体があった。
二人の間に、守るようにして子どもが抱えられている。

聞こえきた声の主は、この子どもだった。


拳銃嚢(ホルスター)に拳銃を仕舞い、子どもを抱き上げる。

泣いていたのは恐怖からによるものだったらしく、幸い怪我はしていなかった。


「こんな状況でいきているとは、運がいいな」


安堵のため息が口から零れる。


ザザッと耳につけた通信機から雑音が聞こえた。
同時に「織田作」と聞き慣れた声がし、思わず手を当てた。


「太宰何処だ」

「何してるのか大体察しがつくけど早く逃げろ。其処も直ぐ危険になる」


二人の間に再び雑音が入った。


「引っ込んでろサンピン！」


太宰とは違う声がした瞬間、織田の横を単車が豪速で通り過ぎた。


単車を運転する黒帽子を被った男に向かって太宰は巫山戯た口調で言う。


「ハァイ中也。敵の射程距離に入ったから弾受けて死んでね」

『言い合い始めないで、集中できない』


雑音と共に聞こえた、不機嫌そうな声が間に入った。
銃の発砲音も聞こえる。


太宰はさっきとはうって変わって明るくなった。


「やぁ、A。声からして寝起きかい？」

『中也に叩き起こされた』

「俺のせいにすンじゃねぇ、青鯖のせいだ」


乱暴にスロットルを回し、更に速度を上げる。
そのすぐ横で爆音と爆風が巻き起こった。

視線を上げれば、自分を狙う対戦車榴弾が見えた。


榴弾が中也目掛けて落ちてくる。

中也は巧みな運転捌きで単車を操り榴弾を避けた。


そんな中で、通信機から太宰とA会話が聞こえてくる。


『で、太宰は何処にいるの』

「私を心配してくれてるのかい？嬉しくて涙が出そうだよ」

『太宰が態と捕まるから仕方なく行くの仕方なく』

「二回も言わなくていいじゃないか。私の硝子のハートにひびが入ってしまうよ」

『ワータイヘン、ドーシヨウ。コマッタナー』

「カタゴト酷い」

「だあああ！！うるっせぇ、気が散るわ！！」


この3人に危機感の"き"の字も無かった。

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