陸拾弐幕 ページ17
凄まじい断末魔が耳を貫く。首を斬られた厭夢はのた打ち回り、痛みのあまりに叫び、汽車全体が大地震のように激しく揺れる。
Aは咄嗟に近くの座席の背を掴み、なんとか耐えようとする。
だが、
「ひっ、あ…ッ」
目の前で扉が揺れの衝撃で開け閉めが繰り返される。その奥に、必死に座席の取っ手にしがみつく男の子がいた。
歳はA達とあまり変わらない。
恐らく、厭夢に
目が合った。
その男の子はAを見て顔を強張らせる。
何故なら、彼が入った夢の主はAだったからだ。
もちろん、Aはそれを知らない。
両足に力を込める。
手を離すと同時に、床を蹴って一気に男の子の元へ行く。
「なッ、なんで」
言葉の続きを言う事は出来なかった。
強く抱きしめられる。
直後、景色は回転し、汽車は轟くほどの激しい音を立てながら横転した。
炭治郎が目を覚ますと、そこは外だった。
どうやら汽車の外に放り出されたらしい。ホッとするも束の間、伊之助が「大丈夫か!?」と駆け寄ってきて体を揺さぶられた。
横転した衝撃と腹の痛みで体が鉛のように重く、怠い。
近くにいた運転手の安否を聞けば、足が汽車に挟まって動けなくなっていた。炭治郎の腹を刺した運転手に、伊之助は「死んでいいと思う!!」と怒りを露わにしていたが、なんとか宥めて助けに行かせた。
_呼吸を整えないと…
大きく息を吸い、酸素を送る。
息が苦しい中でも焦らないよう集中していると、影が下りた。
煉獄だ。
倒れている炭治郎の様子を診に来たのだ。
「腹部から出血している。もっと集中して呼吸の精度を上げるんだ。体の隅々まで神経を行き渡らせろ。血管がある、敗れた血管だ」
言われるがまま、さらに集中する。
すると、見えるわけでもないのに敗れた血管の場所が頭に浮かんだ。
止血しようと意識を高める。
ギリギリ、と歯を食いしばる。
トン、と額に指が置かれた。
「集中!」
直後、血管が凝縮したような感覚がした。
水面から顔を出した時のように、息を吐き出す。止血が上手くいったようだ。
煉獄は笑みを浮かべ、「みんな無事だ!」と明るい声で言う。
「怪我人は大勢だが、命に別状はない。君はもう無理せず_」
瞬間、空から何かが降ってきた。
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RANA(プロフ) - 姫歌@暫く浮上出来ませんさん» ドはまりしました!!よかったら読んでくださいな。また語り合おう (2020年3月11日 21時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌@暫く浮上出来ません(プロフ) - RANAちゃんが、鬼滅を書いている!私も鬼滅ハマりました…また、お話ししてください (2020年3月10日 13時) (レス) id: 032e885983 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2020年2月22日 13時