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祝杯とは。 ページ49

No side


夜の涼しい芥川の頬を撫でる。

バルコニーからは横浜の街が見え、色とりどりに輝いていた。


『りゅーうーくん』


背後からの声に振り返れば、Aが「やぁ」と近づいてきた。

手にあるグラスの中に入っている飲料を見て思わず顔を顰める。


「酒ではないだろうな」

『残念、ジュースだよ』


風で雫のピアスが揺れ煌めく。

Aは芥川の隣へ行くと、柵に肘を付き手の平に顔を乗せた。
その瞳はどこか遠くを見つめているように感じた。


この街なのか、或いはこれから起こるであろう日なのか…何にせよ、Aの心中は読めない。


芥川は自身の手に持つグラスを口へ持っていく。

飲み終えると「ところでさ」とAがにんまりと笑って訊ねた。


『敦くんと組んで如何だった?』

「最悪の他思いつかん。二度とやらぬ」


即答っぷりにけらけらと笑った。

芥川は不愉快そうにAを睨む。
だがすぐに視線を逸した。


「僕は六ヶ月後、人虎を殺す。故にやらぬ」

『ふーん…六ヶ月後、ねぇ』

「そして殺しもせぬ」


その言葉に一瞬、Aの目が大きく開かれた。


芥川は前を向いたまま、敦との会話を思い出す。



___「六ヶ月間、お前は一人も殺すな」___



彼に認められる為に真に必要なもの。
弱さと強さは見た目通りの関係ではない事。

__本当は芥川が敦の前に居る事。


芥川は耳を疑ったが了承した。


恵まれていた敦が悪かった。敦を否めなければ自分は前に一歩進むどころか彼にも認めれもらえない。
だから殺す。

自身が強くなる為に、認めて貰う為に、一歩先に進む為に。


『…そっか』


Aはそっと微笑んだ。

脳裏に浮かんだのは、嘗てマフィアきっての変人と言われた人と、そんな彼と酒を交わす彼等の横顔だった。


「こんな処におったか」


再び背後から聞こえた声は紅葉だった。


「鴎外殿が祝辞の言葉を言うそうじゃ。お主らも来い」

『はーい』





ドストエフスキーの遊戯(ゲーム)は終わっていない。
すぐ目の前に更なる驚異と悪夢は迫っている。


けれど今宵は祝う時。


美しき満月に、

生きる街に、

周りにいる者達に、


そしてポートマフィアの勝利に。


グラスの音が美しく奏でた。


「乾杯」

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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年7月1日 18時

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