幼女からの謝り方講座とは。 ページ4
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「__まぁいい。いかな脚自慢でも"夜"から永遠に逃げる事はできない」
町医者の恰好をした森が電話越しにいる広津に言う。
腕や手には紙袋が1つずつ。
そして隣には、むくれ顔をしたエリスがいた。
「ねぇリンタロウ!お菓子屋さんまだ?」
「もう直ぐだよエリスちゃん。でもその前にもう一軒だけ」
「またお洋服屋さん?15軒目よ?」
2桁にも及ぶ程服屋に行ったのか。
むくれ顔になるのも無理ない。
対して森は
「車で直ぐだから、着てくれたら私は死んでもいい!」
「なら死ねばいいのに」
幼女にここまで言われる中年はいないだろう。
しかしこの幼女趣__エリスを愛す森は間抜け面で「その表情も可愛いねえ」と呟いた。
重症である。
ちなみにまだ通話中なので、「首領」と広津の声が聞こえてきた。
「例の"罠"は手筈通りに?」
「ん?あぁ、それなら彼女の方み任せてるよ」
「...判りました」
少しの間を空けて広津は通話を切った。
森が首を傾げると、エリスが深いため息をついた。
「まだAを仲直りしてないのね」
その言葉に、森は何も言えなかった。
一昨日の事。
異能者殺しで組織の中心人物達が集う会議が行われた。
勿論、その場には森もAもいた。
会議は順調に進んでいた。
が、途中で森とAの意見の食い違いがあった。
最初こそ小さかったものの、徐々に公論へとおおきくなってしまい、仲裁に入った紅葉によってその場は治まった。
紅葉が止めていなければ、2つの殺気に当てられた護衛の構成員が泡を吹いていただろう。
その日から、森とAは一切口をきいていない。
業務連絡も部下にやらせる始末である。
沈黙する森の前に、エリスが「まったく」と呆れ顔を見せた。
「Aも悪いけど、リンタロウもよ。意地張っちゃって、大人気ないわ」
「...判っているのだよ。けれど、何て言えばいいんだい?」
Aと喧嘩__つまり親子喧嘩など初めての事で、森は純粋にAになんと言えばいいのか判らないのだ。
エリスはまた深いため息をついた。
「莫迦ね、そんなの"ごめんね"でいいでしょ。私達は家族なんだから」
きょとん、と森が目を丸くする。
意外にも簡単な答えに唖然としてしまった。
そんな森の手をエリスが掴む。
「早くお菓子屋さんに行ってキャラメルのお菓子買って。もちろん、3つよ」
「...そうだね」
そう口元に孤を描く。
父親が娘達に向ける優しい笑みを。
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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年7月1日 18時