頭が痛いとは。 ページ15
No side
森の様子を見に行っていた広津、立原、銀は報告をする為にAと谷崎がいる部屋へと向かっていた。
「ちゃんと見つけンのかよ、
立原は苛立ちを露わにして言った。
隣にいる広津は「さぁな」と返す。
「死者を一人でも少なくする為には、それしかなかったんだろう。此方も無駄死には避けたいからな」
その言葉にあまり納得いかないのか、「チッ」と舌打ちが聞こえた。
銀は黙って歩く。
けれど微かに殺気が漏れている。
銀だけではない。
マフィア全体が殺気に溢れていた。
「よく姉貴は取引に応じたよな。あの人が一番、とッ捕まえてェ筈だろ」
森が倒れたと聞いてAが取り乱した、という話がマフィア内に回るのはそう遅くなかった。
勿論、この三人の耳にも届いている。
少しの沈黙後、広津がゆっくり口を開いた。
「Aは参謀だ。この状況下で冷静かつ的確な判断をしなければならない。我々にとっては優秀な指揮官だが、彼女にとっては残酷な立場だな」
2人は何も言えず、気まずそうに目線を逸らすしかなかった。
Aは今、どんな思いでいるのだろうか。
暴れたいのかもしれない。
叫びたいのかもしれない。
滅茶苦茶にしたいのかもしれない。
何もしたくないのかもしれない。
どんな思いでいるか何て、誰にも判らない。
目的の部屋に着き、広津が扉を開ける。
『よっし、じゃあトランプやろう。やっぱ定番のババ抜きかな』
「...はい?」
スパァンッと良い音が鳴った。
Aは痛さ故に蹲る。
「数十秒前の俺の気持ち返せ糞師匠」
立原の冷静かつ的確な判断によるものだった。
広津は肩を竦め、銀はため息をつく他なかった。
ムクリとAが立ち上がり、何処からか用意された氷袋を頭に当てる。
『ぼ、首領の容態は...』
「熱が上がるばかりだ。そのせいか、未だ目は覚ましておられない」
「...姉貴、首領を移した方が善いんじゃねぇか?何時狙われるか判ったモンじゃねぇぞ」
『あそこは最上階で、警備も最高レベル。今下手に動かせばそれこそ危険だよ』
「じゃ、後は任せます」と言い、扉の方へ歩いていく。
出ていく直前、谷崎の方を振り返り目が合った。
『またね、オレンジくん』
また会ってたまるか。
そんな気持ちを込めて、消えゆく背中を睨みつけた。
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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年7月1日 18時