不思議な男と影とは。 ページ6
No side
丸い帽子を被った男は、Aと目が合うと「すまんな」と謝った。
相席のことだろう。
Aは頷き、再び紅茶を飲んだ。
二人の間に会話は無く、沈黙だけがそこにあった。
暫くすると、頭上から「お待たせしました」と聞こえた。
顔を上げれば、Aが注文したパンケーキを持った店員がいた。
店員はパンケーキを置いて去ってく。
それをなんとなく見送った。
フォークとナイフを取り、パンケーキを切る。
一口サイズにし、それを口に運んだ。
キャラメルソースとパンケーキの相性は抜群だ。
文句無しである。
Aはもぐもぐとゆっくり味わう。
再びパンケーキを食べようとした時だ。
前から視線を感じた。
目を向ければ、男が面白いものを見るような目でAを見ていた。
「美味しそうに食べるのう。好物か?」
その言葉に頷く。
男は珈琲を一口飲むと、再び口を開いた。
「昔、お前と似た目をした小僧に会った。其奴にある質問をしたのだが...お前にも聞いてみよう」
そう言って悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
Aは自然とフォークとナイフを置いていた。
心臓の鼓動が、何時もより大きく聞こえてくる気がした。
「"生きる"が何か、判るか?」
足音、話す声、食器の音__凡ての音が消えた。
まるで、突然壁が出てきて遮断されたようだ。
やがてその壁は消え、徐々に音が聞こえてきた。
数時間かかったような錯覚に陥った。
『...わからない』
絞り出したその言葉は、どこかぼやっとしていた。
Aは男に目を向ける。
目を丸くし、首を傾げていた。
「儂が思うに、お前はもう判っている筈だぞ?」
ドンッと鈍器に殴られたような衝撃がAを襲う。
中也の部下になった日から、ずっと探し続けてきた。
けれど、判らないまま時が過ぎていった。
その筈が、この男は"もう判っている"と言った。
Aは初めて混乱していた。
「気づいていないだけ、か......まぁ、気づくのはそう遠くないだろう」
男はそう言って立ち上がった。
去ろうとするその背中に「あの」と声をかけた。
殆ど無意識だった。
「なんだ?」
『貴方、何者?』
「...儂の名は、夏目漱石だ」
男__夏目漱石は薄く微笑んだ。
========
ということで、夏目先生でした!
皆さん驚きましたでしょうか?
驚いてくれたら嬉しいです(そしたら大成功)
PS.
夏目先生口調難しい...
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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時