〈if探偵社〉純白の世界とは。 ページ42
No side
『あっぶなー...』
ふぅーっと息を吐き、上体を起こして抱きしめていた少女を見る。
どこにも怪我はないようで、青い瞳が不思議そうに黒網を眺めていた。
Aは少女を抱きかかえ立ち上がった。
異能を解き、影を元に戻して地面に降り立つ。
そして少女をそっと降ろした。
『大丈夫ですか、お嬢さん』
「大丈夫よ!」
ニコリ、とまるで天使のように笑う少女。
Aは思わず「可愛い...」と呟いた。
「アナタのイノーリョク、凄かったわ」
『...へぇ、よく知って__』
「エリスちゃあん!!」
耳を貫くんじゃないかと思うほどを声がした。
同時に少女の前に白衣を着た中年男が物凄い勢いで来て少女の肩を掴んだ。
「心配したよ!」と涙目である。
そんな中年男に少女は「キモい」と毒を吐いた。
若干引きつつも中年男に問いかけた。
『貴方がお嬢さんの親御さんですか?』
「まぁそのような者だよ。助けてくれてありがとう」
『いえいえ』
微笑するAに「では」と中年男が少女の手を引いて立ち去ろうと踵を返した。
『今後もお気をつけください。町医者殿?』
怪しげに笑ってそう言った。
中年男は立ち止まり、ゆるりと振り返った。
「...君もね」
「ばいばい」
再び歩き始めた。
遠くなる背中を無表情で見つめる。
その瞳は微かに鋭く、どこか警戒しているように思えた。
「Aちゃん!」
名を呼ばれ、振り向けば敦と太宰が此方に向かって来ていた。
Aはニッと笑い「お疲れ〜」と手を振った。
これにて、一件落着。
「どこが一件落着な訳!?何やってるのさ!」
何時もは国木田の筈が、珍しく乱歩の怒声が探偵社内に響いた。
肩をビクつかせた敦はそっと目を向ける。
「僕無茶するなって何回も言ったじゃん!」
『だ、だってあぁしないと女の子助からなかったし...』
「影だけ動かせば善かったじゃないの?」
『...あ、そうじゃん。やっぱ乱歩くんって頭い__』
「A!」
Aから小さな悲鳴が上がる。
数十分前にあった事件の犯人も捕まって解決した
...が、
「今回ばかりはAが悪いねェ」
「はい...僕も肝が冷えました」
与謝野の言葉に敦は苦笑し、二人を見る。
兄が妹を叱るような、どこか微笑ましい雰囲気に笑みを零した。
「よかった」
そんな呟きは、賑やかな社内によって霧のように消えてしまった。
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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時