検索窓
今日:51 hit、昨日:101 hit、合計:465,426 hit

舞台を操りし魔人とは。 ページ33

No side


十郎の体は後ろに傾き、音を立てて地面に倒れた。

起き上がってこない。
絶命したのだろう。


「誰が、殺った?」


中也は目を見開いた。

何故なら、中也の手にはまだ小石があるのだから。

殺したのは中也ではなかった。


十郎を見てみると、銀色に光る手術刃(メス)が喉に突き刺さっていた。


真逆、と脳裏にある人物が浮かぶ。


「君に親を名乗る資格は無い」


冷たく、そして静かな怒りがある声が響いた。


ゆっくりと振り向けば、光を宿していない紅い瞳が十郎を見据えている。

肌にまで殺気が伝わってきた。


「首領」


太宰が唖然と呟いた。

拠点にいる筈の森が、其処に悠然と立っていた。


殺気が消え、何時もの掴めない雰囲気に戻った森は二人に近づく。


「やはりAちゃんが心配でね」


如何して此処にいるのか疑問に思っているのを読んだかのように言った。


太宰は揶揄うように笑う。


「首領でも心配になることがあるんですね」

「君は私を何だと思っているんだい?
あぁ中也くん、Aちゃんは私が預かるよ」


中也からAを受け取る。
まるで硝子細工を扱うかのように、そっと優しく横抱きにした。


「2人ともお疲れ様。では帰ろうか」


歩き始めた森の後ろを追いかける。

が、中也はまだふらふらしていて足が覚束ない。
隣を歩く太宰の肩を掴んだ。


「悪ィ太宰、肩貸してくれ」

「やだ」

「あ‶!?」


見事な即答だった。

太宰は面倒くさそうに中也を見た。


「だって私、斬られて胸痛いし」

「しっかり歩いてンじゃねェか!」

「君だってもう生命力は戻っているだろう?」

「それでもまだダリィんだよ。お前本当にクズだな」

「あれくらいでくたばるとか中也よわ〜い」


ギャアギャアと言い合いが始まった。


森は足を止め、二人の方を向きため息をつく。

腕の中で、Aは変わらず眠っていた。









「失敗でしたか...まぁいいでしょう、元々皇十郎に期待はしていません」


カップを置き、ソファに深く腰掛ける。


紅茶の匂いとレコードプレーヤーから流れる音楽が心地良い。


「機会なんて、幾らでもありますから」


紫水晶の瞳が怪しく光った。

長年の時を経て__とは。→←光が戻った街とは。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (424 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1322人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年3月27日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。