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光が戻った街とは。 ページ32

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雲が流れ、月が現れた。
暗闇に光が差す。


中也はAを見た。

先程と同じく、其処に静かに立っている。


三船の姿が見当たらなかった。
何処に行ったんだと探す。

ふと視線を下げた。


「なっ...」


目に入った"それ"に、言葉を失った。

Aの足元に、木乃伊が口を開いて転がっていたのだ。
近くには日本刀も落ちている。


真逆、と思い中也は目を丸くした。


「あの木乃伊...三船か?」

「恐らくね」


太宰もジッと木乃伊を見た。

絶命していることは明らかだった。


夜風が頬を撫でる。


ぼぅっと立っていたAはドサリと地面に倒れた。


「A!」


2人は慌ててAの元へ行く。


背中を斬られた状態で異能を発動させたのだ。
体には相当の負担と疲労がきているだろう。


三船が死んだことにより、中也の体は先程よりも動けるようになっていた。

太宰の支えから離れ、Aを抱き起す。


「おいA!しっかりし...ろ......」

「...寝てるね」


Aの寝息が聞こえてきた。
見てみれば、仕事を終えぐっすり眠っている普段と変わらない寝顔。


一気に疲れが出た。


2人は大きなため息を吐く。


「此奴...心臓に悪ィことすンなよなぁ」

「全くだ。けれど、無事で善かったよ」


呆れと安堵が混ざった笑みを浮かべる太宰。
「まァな」と中也も同じ笑みを浮かべた。


「さてと、任務も完了したことだし早くかえ__」

「帰さんぞ」


背後から聞こえた声に身構える。


振り返ると、肩で息をしながら銃を持っている男。
十郎だ。


銃口はいわずもがな、Aに向けられていた。


「そいつは私のだ...私のモノだ...」


覚束ない足取りで近づいてくる。


中也は満足に体を動かすことができず、太宰は傷を負っている。
武器も手元にない。


何か武器になる物はないか、と中也は辺りを見渡した。

近くに転がっていたコンクリートの破片を見つけ、それを拾う。


まだ満足に回復していないが、異能でやるしかない。

太宰も判ったか、冷静に十郎を見据えていた。


「大体そいつは私に感謝すべきなのだ。誰のお陰で生きてこられたと思っている...」


歩みが止まった。
かと思えば、勢い良く顔を上げ叫んだ。


「私だ!私がそいつを預からなければそいつは死んでいた!そいつにとって、私は育てのお__」


言葉を遮るかのように、夜空に赤い血が舞った。

舞台を操りし魔人とは。→←闇を支配する者とは。



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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年3月27日 0時

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