【文スト】闇の支配人とは。6

受け継がれた"生きる"とは。 ページ28

あの日と同じだ。


あの人が、多喜二が殺された日と。



何も出来なかった。



ただ捕まって、ただ地面に押さえつけられて。



ただ多喜二が三船に斬られるのを、殺されるのを見て泣き叫んだ。




今もそうだ。



三船が刀を振り上げているのを見ているだけ。



あの日と同じことを繰り返す。





＿＿「＿＿ろ」＿＿





脳裏で誰かが言った。





＿＿「生きろ」＿＿




紛れもない、多喜二の声が聞こえた。





＿＿「生きていれば、アンタがいたいと思える場所が」＿＿





私がいたい場所。





＿＿「アンタが大切だと思える人ができるから」＿＿＿





私の大切な人。





＿＿「だから、生きろ」＿＿





生きる。




あ、そうか...





＿＿「"生きる"が何か、判るか？」＿＿





そういうことだったんだ。



多喜二が言った言葉は、こういうことだったんだ。




暗闇に包まれる直前、私は地面に落ちているソレを取った。





もう繰り返さない。




もう殺させない。




もう無くさない。




私の居場所と大切な人を。




あそことあの人達が私の＿＿









それが、多喜二と私の＿＿









　
"生きる"

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