命枯れゆく時をとは。 ページ23
No side
喉が占められているかのような息苦しさ。
体に力が入らない。
鳥肌が立つ程の寒気。
それらが中也を襲う。
「中也!」
太宰が声を上げ、駆けだした。
しかし横から男が突っ込んできた。
体が地面に倒れ、そのまま押さえつけられてしまう。
「気分は如何だい?ちびっ子クン」
何時の間に取ってきたのか、三船が手に刀を持って近づいてきた。
中也の前にしゃがみ、楽しそうに笑みを浮かべた。
「て、めぇ...何、しやがった?」
「それがボクの異能力だよ」
ニッコリと笑い立ち上がる。
背後にある窓から月が現れた。
逆光でより一層、三船を怪しく魅せていた。
三船は刀を持っていない方の手を胸に当てた。
「ボクの異能力『冬枯れ』は、3秒触れた相手の生命力の7割を奪うことが出来る」
「なッ...」
中也は言葉を失う。
反応が面白いと言わんばかりにクスクス笑った。
そしてその場でくるくると回り出した。
「まぁ、1日経っちゃえば奪った生命力は本人に帰っちゃうんだけどね〜...ボクから逃げられた奴なんていないけど」
三船は回っていた体を止めた。
中也は顔を顰め、拳を出来る限り握りしめる。
ふざけんじゃねェ。
そう言って今すぐにでも殴りたいのに、体がいうことを聞かない。
口から零れるのは荒い息だけだ。
苦しげな中也の首元に、突如冷たいものが当たる。
目だけを向ければ、刀が月光を浴びて光っていた。
「いいよ〜、そのカオ。ボクはそれが好きなんだ」
淡々とした口調で話を続けた。
「死んでいく人間が最期苦しみながらも見せる表情は"絶望"と"恐怖"だ。けれど顔には様々な色でそれは表れる...ボクはそれが好きなんだ。判る?」
「判るわけ、ねぇだろ...狂ってやがる」
「...まぁいいさ。きっとこの気持ちはボクにしか判らない」
刀を構えた。
チャキ、と柄を握る音がした。
中也はなんとか逃げようと無理矢理体を動かす。
「それに、ボクはAチャンの"あの顔"がまた見られればいいんだよ」
そう言って、笑みを浮かべて刀を振り落とす。
が、直前に銃声が辺りに響いた。
刀が空中で止まる。
三船の頬から血が流れた。
「A...」
中也が呆然と呟いた。
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異能力『冬枯れ』は文豪の徳永直の作品からです。
なんでオリキャラしかも文豪じゃない奴が、と思う方もいるかもしれませんが、物語上欠かせないものなので、ご理解お願い致します。
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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時