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蛇の刀とは。 ページ20

No side


後一歩、前に出ていたら下敷きになっていただろう。


太宰は鉄の塊を見た。

それは先程中也が吹っ飛ばした扉の半分だった。


「いったいなぁ」


緩く、けれど不機嫌そうな声。

其方に目を向けると、日本刀を持った三船がいた。
首を回しながら太宰達の近づいてくる。


太宰は「へぇ」と関心したように呟いた。


「中也の攻撃を受けたのにもう動けるのかい?頑丈(タフ)だね、君」

「これでも体は丈夫なんだ。
...それよりも」


三船の目にAが映った。

嗤っているのに、その目は氷よりも冷たい。


「Aチャンにこんな奴等がいたなんて...ボク、嬉しいなぁ。だって、」


三船は足を止めた。

刀の刃が月光に当たり怪しく光っていた。


太宰は警戒するように数歩後ろに下がる。


「そいつ等殺したらAチャンの"あの顔"、またみれるんデショ?」


その場の空気が氷点下になった気がした。


Aに胸を強く押され、太宰の体は後ろに傾く。


直後、2人の間に三船が刀を振り落とした。

一秒でも遅ければ、太宰の体は真っ二つに斬られていた。


「あーあ、避けられちゃった」


まるで、戦闘遊戯(ゲーム)で相手を倒そうとしたのに避けられて失敗したような軽い言い方だ。


太宰は素早く立ち上がった。


「まぁいっか〜。Aチャンを抱えていないキミに手加減しなくて済む」


視界から、笑みを浮かべた三船が消えた。

瞬きをしたその時、目の前に刀を振り上げた三船がいた。


太宰は地面を蹴るようにして後ろに飛んだ。
同時に銀色の光が太宰がいた場所を切断した。

刀の先端が太宰の胸を左斜めに引っ掻いた。


「ぐっ...」


もう一度後ろに飛び、三船と距離を取った。

胸を抑えれば、血が手を赤く染めていく。


「へぇ凄い。ボクの刀を避けてるなんて」


三船は血の付いた刃の先端を舐めた。

舌なめずりをしながら、獲物を狙う蛇のような目で太宰を見た。


太宰はふっと笑う。


「痛くて死ぬのは嫌だからね。これが美人な女性だったらまだ善かったかもしれないけれど」

「死にたがりなの?殺ってあげようか?」

「聞いてなかったのかい?私は美人な女性がいいのだよ」



ふと、三船の後ろにいるAが視界に入った。

心配そうに太宰を見ていた。


いつも無表情かぶっきらぼうなAが。

成長したなぁ、と思ってしまう。


「...A、もうちょっとだから」


太宰は安心させるように優しく微笑んだ。

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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年3月27日 0時

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