検索窓
今日:43 hit、昨日:101 hit、合計:465,418 hit

黒き救世主とは。 ページ18

No side


「君莫迦なの?私は"開けて"と言ったのだよ。"吹っ飛ばせ"なんて言ってないのだけど」

「どう開けようが俺の勝手だろ」


数時間しか経っていない筈なのに、妙に懐かしく思えてしまう。

Aはゆっくりと顔を上げた。


『中也...太宰...』


さっきまで、もう会うことはないと思っていた二人がいた。
何時ものように、くだらない口喧嘩をしてそこにいた。


十郎は大きく舌打ちをした。


「ポートマフィアの連中か」


憎々しい目つきで二人を睨み付ける。


口喧嘩が止まり、中也が十郎を見た。


「Aを返せ」


低い声と殺気が空気を震わせた。

隣にいる太宰も殺気を放っている。


けれど十郎はそれに怯えず、ハッと鼻で笑った。


グイッと結んであるAの髪を引っ張った。
「う‶っ」と呻き声が口から零れた。


「此奴は売る。お前等に返す気など毛頭ない」


そう言って手を掲げた。


直後、黒いマントを羽織った男達__Aを襲った連中__が現れ、2人を囲んだ。

数は200人前後といったところだろう。


太宰は面倒くさそうにため息をついた。


「仕方ない。そっちは任せたよ」

「あァ」


銃声が鳴り響いた。
全方位からの一斉射撃である。

普通の人間ならば身体中に穴を開けて死ぬだろう。


"普通の人間ならば"の話だが。


弾は貫通も当たりもしていなかった。

空中で停止し、地面に落ちた。


中也の異能力によって。


「手前等、覚悟はできてンだろうなァ!」


中也が飛び出し、戦闘が始まった。

襲い来る男達を次々に倒していく。


その光景を離れた処で見ていた十郎は、使えないとでも言うように舌打ちした。

そして無理矢理Aを立たせる。


「来いッ」


嫌だ。
そう言いたいのに言えない。

十郎に抵抗することが出来ない。


Aは奥歯を噛み締める。


「その汚い手を離し給え」


同時に十郎の体が吹っ飛ばされた。

コンクリートの地面に後頭部が強く当たり鈍い音を立てた。


Aが顔を上げると太宰が微笑んだ。


『太宰...』

「やぁ、遅くなったね」


ふるふると首を振った。


太宰はAの頭を撫でると針金ピンを取り出した。

手錠の鍵穴に居れ、数秒経つと手錠が外れた。


そしてAを横抱きにして駆け出す。

窓の横を差し掛かった。


その時、目の前を鉄の塊が豪速で通り過ぎた。

徳永のイラスト18→←絶望とは。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (424 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1322人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年3月27日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。