黒き救世主とは。 ページ18
No side
「君莫迦なの?私は"開けて"と言ったのだよ。"吹っ飛ばせ"なんて言ってないのだけど」
「どう開けようが俺の勝手だろ」
数時間しか経っていない筈なのに、妙に懐かしく思えてしまう。
Aはゆっくりと顔を上げた。
『中也...太宰...』
さっきまで、もう会うことはないと思っていた二人がいた。
何時ものように、くだらない口喧嘩をしてそこにいた。
十郎は大きく舌打ちをした。
「ポートマフィアの連中か」
憎々しい目つきで二人を睨み付ける。
口喧嘩が止まり、中也が十郎を見た。
「Aを返せ」
低い声と殺気が空気を震わせた。
隣にいる太宰も殺気を放っている。
けれど十郎はそれに怯えず、ハッと鼻で笑った。
グイッと結んであるAの髪を引っ張った。
「う‶っ」と呻き声が口から零れた。
「此奴は売る。お前等に返す気など毛頭ない」
そう言って手を掲げた。
直後、黒いマントを羽織った男達__Aを襲った連中__が現れ、2人を囲んだ。
数は200人前後といったところだろう。
太宰は面倒くさそうにため息をついた。
「仕方ない。そっちは任せたよ」
「あァ」
銃声が鳴り響いた。
全方位からの一斉射撃である。
普通の人間ならば身体中に穴を開けて死ぬだろう。
"普通の人間ならば"の話だが。
弾は貫通も当たりもしていなかった。
空中で停止し、地面に落ちた。
中也の異能力によって。
「手前等、覚悟はできてンだろうなァ!」
中也が飛び出し、戦闘が始まった。
襲い来る男達を次々に倒していく。
その光景を離れた処で見ていた十郎は、使えないとでも言うように舌打ちした。
そして無理矢理Aを立たせる。
「来いッ」
嫌だ。
そう言いたいのに言えない。
十郎に抵抗することが出来ない。
Aは奥歯を噛み締める。
「その汚い手を離し給え」
同時に十郎の体が吹っ飛ばされた。
コンクリートの地面に後頭部が強く当たり鈍い音を立てた。
Aが顔を上げると太宰が微笑んだ。
『太宰...』
「やぁ、遅くなったね」
ふるふると首を振った。
太宰はAの頭を撫でると針金ピンを取り出した。
手錠の鍵穴に居れ、数秒経つと手錠が外れた。
そしてAを横抱きにして駆け出す。
窓の横を差し掛かった。
その時、目の前を鉄の塊が豪速で通り過ぎた。
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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時