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木に囚われしお姫様とは。 ページ1

No side


「眠り姫様、ねえ...」


中也が若干額に皺を寄せながら呟いた。
その横を太宰が通り過ぎ、木へと近づいていく。


「木の根を切り落とさないと。中也、短刀(ナイフ)貸して」

「あ?あぁ...ん?確か此処に......」


何時も懐に仕舞っている筈の短刀(ナイフ)がなくなっていた。
外套のポケットや腰辺りを探すが、やはりなかった。

すると太宰の陽気な声が前から聞こえてきた。


「あ、さっき念の為に掏っておいたんだった」

「手前...」


抜かりないと言うべきなのか、やはり太宰だと言うべきなのか。


「さて、やるか」


太宰は中也の短刀(ナイフ)を木の根へやった。

けれどその刃先は久作の首筋にあった。
それに中也は驚きもせず、ただ見つめている。


「...止めないの?」

「首領には生きて連れて帰れと命令されている。だがこの距離じゃ手前のほうが早え。それに...」



__詛いで死んだ部下達の死体袋が目の前をちらつきやがる



今回の件で、ポートマフィアは多大な犠牲が出た。
その中には中也の部下達も含まれていた。

久作が幾ら此方側であれ、やはり気持ちのいいものではない。


「やれよ」

「...Aは如何なんだい?さっきから黙りこくっちゃってるけど」


太宰は中也からAへと視線を移した。

壁に寄りかかりながら、興味無さそうに太宰を見ている。
そして軽くため息をついた。


『太宰は殺さないでしょ。久ちゃんがうちにいる限り、暴走した時に太宰の異能が必要になる。言わば保険...莫迦な芝居してないでさっさとその木の根切っちゃったら?』

「...やれやれ、バレてたか」


太宰は短刀(ナイフ)を木の根へと持っていき、切っていく。
舌打ちをした中也が不満げにその行為を見ていた。


「偽善臭え。反吐が出るぜ」

『それな』

「ガチトーンは止めてくれるかい?結構傷つくのだよ?」

『勝手に傷ついとけば』


この三人に、シリアスなど似合うはずもなかった。


太宰は何かを思い出したのか「あっ」と呟いた。

何を思い出したかと思えば、如何やら久作の異能が発動した際、探偵社は国木田が受信者だった。
椅子に縛りつけていたから被害はなかったものの、国木田は恥ずかしい台詞を連呼していたという。


「その後如何した」

「勿論録画したけど」


さも当たり前のように言った。

探偵社にも太宰で苦労している者が居ることを知った。


『それ送って』

「止めてやれ」

懐かしい光景とは。→



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でんでん - 徳永さんの黒の時代がとても面白いです! (2月26日 0時) (レス) @page7 id: e3b856a7a9 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://cdn.picrew.me/app/share/202005/258388_pj2ocJeQ.png (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - ミニ徳永ちゃん (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - 夢主徳永ちゃんです!Pcuruで作りました (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://p02.nosv.org/?src=https%3A%2F%2Fcdn.picrew.me%2Fapp%2Fshare%2F202005%2F42922_NjYLl6l1.png&w=600&h=&ext=1&zc= (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年1月13日 1時

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