陸幕 ページ9
泣き止んだ清を改めて見ると、右脚から血が流れていた。
近くの棚から着物を出し、応急処置を済ませた後適当な大きさに破いて包帯代わりに巻いていく。
途中でAの手が止まった。
「どうしたんですか?」
『鬼の気配がする。こっちに近づいて来てるね』
「え」
サーッと清の顔から血の気が引く。
Aは刀の鍔に手をかけ、隣の部屋に視線を向けた。
ギシ…ギシ…と音を鳴らしながら鬼が近づいて来る。遂に襖の前まで来て、巨体の影が映った。
柄を握り刀を抜こうとした時、ポンッと軽快な音がした。
同時に襖にあった影が消える。
Aは柄から手を離し、清に視線を移した。
『清さん、それは?』
「これを叩くと、他の部屋が変わるんだ」
彼の手には鼓があった。
つまり、今までの鼓の音、そして部屋を変えていたのは清という事になる。
どこで手に入れたのか聞くと、三人いた鬼のうちの一人が、鬼同士の殺し合いで落としたという。咄嗟に拾って叩くと部屋が変わるので、鬼が来た時には鼓を叩いて逃げていた。
Aは「頭いいね」と感心し、包帯巻きを再開する。
ふと、顔を上げた。
『…また違う気配』
「えっ、ば、化け物…?」
『いや、人の気配だね。知ってる気配が二人…こっちに来てる』
立ち上がり、前の方にある襖を開ける。すると、その部屋の廊下側にある襖も開き、そこから二人の人物が現れた。
「A!無事でよかった!」
『竈門さんこそ、無事でなにより』
炭治郎は安堵の表情を浮かべる。
視線を下げると、彼の前に髪を二つ結びにした女の子_てる子がいた。
「血の匂いがしたからてっきり怪我してるかと思ったけど、Aからは血の匂いがしないな」
『竈門さん鼻良いね。たぶんその匂い、彼じゃないかな』
「彼?」
Aは二人を部屋に入れる。
突然入ってきた二人に清は困惑したが、てる子を見るとハッとした表情になる、それはてる子も同じで、炭治郎から離れ清に駆け寄った。
「てる子!」
「清兄ちゃん!」
やっと会えた兄妹の姿に炭治郎はほっと胸を撫で下ろす。
斜め後ろにいるAは静かな瞳で見つめていた。
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RANA(プロフ) - 鴉蒼さん» ご指摘ありがとうございます。いつも注意しながら書いているのですが、時々見逃してしまいますので、またあったら教えてくださるとうれしいです。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
鴉蒼 - 富岡さんになってますよ…冨岡さんです… (2020年4月6日 9時) (レス) id: 96316f1cbb (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - RANAさん» 教えてくれてありがとうございます!!楽しんで読んでます!更新頑張ってください! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - サラダさん» "うすい"と読みます!!読みにくくてすみません (2020年2月22日 20時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 夢主の名字の読み方がわからないのですが、、、出来れば教えてください!!! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2019年11月19日 0時