序幕 ページ1
太陽の光が眩しい。
雲一つない青空に君臨する太陽は下界の海を、川を、地を、樹を、葉を、花を、建物を、動物を、人を照らしている。
産屋敷邸の庭園に、鬼殺隊の隊員が青空を仰ぐ事なく、池の水面を眺めていた。
雪の結晶が描かれた白い羽織が風で揺れ、腰にあるこれまた白い刀の柄が見え隠れする。淡い水色の髪は太陽の光で美しく煌めていて見えるが、矢張り青空を仰がない。
襖が開く音がした。
目を向ければ、産屋敷家97代目当主＿産屋敷輝哉が二人の子供に手を引かれ、縁側まで歩く。
産屋敷が歩みを止め二人の子供がいなくなる時には、彼の前で跪いていた。
『おはようございます、お館様。体調が優れているようで何よりでございます』
決して大きくないのにとても良く通る声だ。
産屋敷はふわりと微笑む。
「今日はとても良い天気なんだね、日向が心地良い。
急に呼んだのに来てくれてありがとう、A」
"A"と呼ばれた隊員は顔を上げた。
銀色の瞳が細められ、にっこりと笑う。
『お館様の為ならばこの兎氷A、例え地の果てにいようとも飛んで参る所存です』
「そう言ってくれて嬉しいよ。本当はお茶を出してこのまま話していたいのだけど…急ぎの件だから、早速本題に入るね」
本来、任務の伝達は鎹鴉が行う。
こうして産屋敷が直に任務の命を下す事はない。
余程重要な任務らしい。
産屋敷が話している間、Aは一言も喋らず黙って話を聞いていた。
「＿＿という事なんだ。A、頼まれてくれるかな？」
『何を仰いますか、お館様』
Aは玩具を貰った幼子のような笑みを浮かべた。
『そんな素晴らしい役、引き受けない訳がありません。ここ最近ずうっと同じ役ばかりで退屈していたところです』
常人にはあまり理解できそうにない言葉をつらつら並べる。
けれど産屋敷は、「そう言ってくれると思ったよ」と嬉しそうだ。彼には、彼女の言葉が理解できるらしい。
「この事は他の者には頼めないし、混乱させてしまう。
…けれど、いつか話さなければならない。そして彼等は証明しなければならない」
『お館様のそのご意思、しかと承りました』
Aは右手を自身の胸に添え、深々と頭を下げる。
彼に忠誠を誓っているのは一目瞭然だ。
『貴方様のご意思を叶えるため、完璧よりも完璧に、
演じてみせます』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 128人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RANA(プロフ) - 鴉蒼さん» ご指摘ありがとうございます。いつも注意しながら書いているのですが、時々見逃してしまいますので、またあったら教えてくださるとうれしいです。 (2020年4月6日 12時) (
レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
鴉蒼 - 富岡さんになってますよ…冨岡さんです… (2020年4月6日 9時) (レス) id: 96316f1cbb (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - RANAさん» 教えてくれてありがとうございます！！楽しんで読んでます！更新頑張ってください！ (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - サラダさん» "うすい"と読みます！！読みにくくてすみません (2020年2月22日 20時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 夢主の名字の読み方がわからないのですが、、、出来れば教えてください！！！ (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RANA
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時：2019年11月19日 0時
