【文スト】参謀とは。2

事の始まりとは。 ページ29

No side


「け、蹴り強くなってない？」


変わらず笑みを浮かべる太宰。一瞬ドMなのかと勘違いしそうになるが、膝をついて蹲っているのを見る限り、そうではないらしい。

Aは当然だとでも言いたげに腕を組む。


『私のキャラメルタイム奪った挙句自分は楽しく飲みに行ったんだから、自業自得』


そんな理由で幹部蹴ったのかこの人。

構成員達は何とも言えない表情で沈黙していた。


太宰は「悪かったよ」と言い乍ら立ち上がる。
そして絶命した男の近くへと行き、観察し始めた。


「死因は毒？」

『うん。たぶん、奥の方に仕込んでたと思う』

「ふぅん...で、何か情報は手に入ったかい？」

『組織名だけ』


不貞腐れた様にそっぽを向き乍ら言う。


「へぇ！あのAが一つだけ？珍しい事もあるじゃないか。
一体どんな連中だい？」


太宰は興味を示したのか、声を弾ませる。

Aは少し間を空けてから、口を開いた。


『ミミック』


その言葉は地下牢に響く。

太宰はニヤリと口角を上げ、Aの前へと来た。


「後は私達でやるよ。今日はお疲れ様」

『ん』


Aの手にキャラメルが落とされる。それを口に含み、靴の底を鳴らし乍ら地下牢を去った。





「"ミミック"、ねぇ」





今夜限りの付き合いの筈の組織は、ポートマフィアに大きく関わっていく事になった。






いや、もう既にかかわっていた。







それがわかるまで、あと少し。

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