集まった三人とは。 ページ27
No side
「やあ安吾!暫く見なかったけど、元気そうじゃないか!」
太宰は笑顔で手を掲げる。
坂口安吾__ポートマフィアの専属情報員。
丸眼鏡に背広という学者然とした出立ちである。
「元気なものですか。東京出張からたった今帰って来たばかりなんです。日帰りのね。古新聞のようにくたくたです」
肩から提げていた鞄を机の上に置き、太宰の隣に腰掛ける。
それと同時に、マスターは黄金色の液体を安吾の前に置いた。
疲れた表情で今回の仕事の愚痴を言い始める。
太宰も今日の出来事について話をした。織田はただそれに相槌を打ち、話を聞く。
ふと、太宰が思い出したように顔を上げた。
「そう言えば、私達三人が此処に飲むようになって久しいけど、織田作の仕事の愚痴はあまり聞かないなぁ」
「聞いても面白くない」
織田はこの2人とは違い、下級構成員である。
が、太宰はそんな事を気にしなず、興味あり気に織田にここ一週間の仕事内容を問う。
織田は指を折りながら話し始めた。
結果、内容は想像もつかないようなばかりの仕事だった。
マフィア内の何でも屋は本当に何でもやっている。
太宰は「仕事を交換したい」と目を輝かせた。
暫く話をし、安吾は帰るため鞄を持って立ち上がる。
織田は何気なく、鞄の中身を聞いた。
その中には写真機があった。
「そうだ、写真を撮ろうよ。記念にさ」
唐突に、太宰が明るい声で言った。
記念と言ったが、記念になるような事があっただろうか。
「何の記念だ?」
「三人がここに集まった記念。あるいは安吾の出張完了祝いか、不発弾処理祝い。その他何でも」
「幹部殿の仰せのままに」
安吾は肩を竦め乍ら、鞄の中から写真機を取り出した。
三人はその写真機で、色々な写真を撮り、最後には三人一緒に撮ろうということになり、カウンターの席へと並んで座る。
「あーあ、Aも呼べばよかったなあ」
「Aさんですか...最近会ってないですね」
「帰ったら写真撮ったって自慢しよう」
「...怒られても知りませんよ」
「まぁ、また撮ればいいさ」
織田がそう言うと、「そうだね」と太宰が呟く。
「太宰、何故急に写真なんだ?」
「今撮っておかないと、我々がこうやって集まったという事実を残す者が何もなくなるような気がしたんだよ」
シャッター音がバーに響いた。
三人が写真を撮る機会も、Aが此処に混じり四人で撮る機会も、二度と来なかった。
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RANA(プロフ) - 花雫@浮上中さん» ご指摘ありがとうございます! (2018年1月9日 0時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
花雫@浮上中(プロフ) - あんの青鯖野郎です!えっと唐突な間違い指摘ごめんなさい (2018年1月8日 2時) (レス) id: f3cc68df07 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - えーなさん» 14巻。表紙最高でしたね!次巻はやく販売しないかな()そして来年には映画ですね!それも楽しみなんですよ〜!! 続編、さっそくできました。応援ありがとうございます!頑張ります! (2017年12月10日 19時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
えーな(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!14巻見ました!乱歩さんメインで私も幸せでした〜!そしてまさか探偵社の今後がめちゃくちゃ気になる終わり方で…!すみません、漫画の話はここまでにします笑 続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年12月10日 19時) (レス) id: 2f759f2211 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年11月16日 22時) (レス) id: fcafb99727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2017年11月5日 22時