【弱虫ペダル】Advanced to before...for the team!! (ページ3)

今日:1 hit、昨日:13 hit、合計:75,491 hit

GEAR 3 ページ3

あれからクラスにもようやく馴染めて来た頃

先生「部活入っていない人は明日までに決めるように！」

何も考えずに期限を迎えるのはさすがにヤバイ

『うーん……』

「Aさん、部活は決めたの？」

隣の真波くんに話しかけられる

あれから何度か話すようにもなり
前みたいな緊張感もなくなった

『珍しく起きてる…！』

「だってもうすぐ昼休みだからさ」

『そういえばお昼になると真波くんいつもいないね』

「それで、部活は決まったの？」

『え？ああ…それがまだ決まらなくて…得意なこともないから…』

「Aさんは、坂、好き？」

『…サカ？サカナ？？』

「ぷっ(笑)道の坂の事だよ♪」

『あ、それね！(笑)…坂好きな人とかいるの？道が好きとか聞いたことがないよ(笑)』

「ボクは昼休み、大好きな坂を毎日登るんだ」

何を言ってんだコイツなんて思いながら
話を遮るのもアレだから聞くことにした

「山に続く坂を登っている時にね、ああ、オレ、生きてる…そう思えるんだ。」

『へ、へぇ～』

やっぱり何言ってるかわからない。

「自転車競技って一見地味に見られがちだけど、
外に出て、空気にふれて雨や寒さを五感を通して感じて、道や自然と対峙してあらゆる手段を使って前の敵を追い抜こうって
もがいて、体中の力を使ってギリギリまで追いやって、
それってすごく”死”に近いと思うんだ。
そういうときに湧きあがるんだよ。自分が本当に生きてるって感情が！」

見たこともない笑顔で話す真波くんの言葉が
自然と私の身体に入ってくる

『真波くんは、自転車競技部なの…？』

「そうだよ。自転車は色んなところへ連れていってくれる。見たことのない景色も見せてくれる、それって凄く素敵なことじゃないかな？」

『正直自転車競技の事はよく分からないけど…真波くんが凄く生き生きしたカオで話すのを聞いてたらちょっとだけワクワクしてきた…』

「見る人さえも魅了するのが自転車競技…ロードレースなんだよ。」

先ほどまで何言ってんだコイツだなんて
思ってごめんなさいって思うくらいに真波くんの言葉に惹き込まれた

「Aさん、放課後どうせ暇でしょ？ちょっと付き合ってよ」

『どうせって…(笑)いいけど、どこ行…』

昼休みを告げるチャイムがなると真波くんも同時に居なくなっていた

『えぇ…』