契約と懐古 ページ5
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⎯⎯⎯あの男が面倒を引っ提げてやってきたのは三日前のことだ。
頽廃した地上すらも追われた救いなきならず者、不幸者、無力な者達が自由と平穏を羨み求め生まれた地下都市。生者の墓場とも呼べるそこで私は｢何でも屋｣を営んでいた。
｢何用ですか、グルッペン・フューラー。こんなドブ臭い地下に君のような男がひとりでのこのこと、その汚れひとつないピカピカのコートを自慢しにきたので？｣
そう、三日前。私の前に現れた懐かしい風采は屑鉄を貼り合わせたガラクタのような事務所に突然舞い込んだ。彼は私の嫌味に嫌な顔ひとつせず、あまつさえ穏やかに笑みを湛え埃にまみれたボロ皮のソファーへどっかりと腰掛ける。
｢久しいな、A。八年振りか｣
｢……そうでしたっけ。君の事はあまり記憶になくって｣
｢ふは、随分と嫌われたものだ｣
｢当たり前です。君を忘れても、この身に受けた屈辱の数々は忘れもしませんから｣
嗚呼、思い返すとたちまちに血管が焼き切れそうな程の憤怒が全身に巡る。遺恨の清算が果たされないまま八年が過ぎ、こうして厳かに着飾った身で私の前に現れたその男の神経を疑ってしまうのは必然だろう。
｢餓鬼の頃の話を未だ根に持っているのか、お前。あんなもの幼いなりの愛情表現だろう｣
｢なーにを莫迦なことを！ 殴ってやらにゃ気が済まないってもんです！｣
｢おっと、そう声を荒らげるな｣
どうどう、なんて言って余裕に笑う彼にふるり、拳か震える。しかし私はあの頃と違って大人になったのだ。彼も同様に。こんな事で冷静さを欠いてはいけない、と拳を収める。
｢……で、一体全体本当に今更何の用ですか。謝罪なら受け付けていません｣
｢お前に会いに来た、と言ったら怒るか？｣
｢きゅん。……いやきゅんじゃない！ ちょっと顔が良いからって適当なこと言って誑かそうとするなばあか！｣
｢そんなつもりはないが｣
｢そうでしたか｣
いけない、宿敵とはいえ眉目秀麗の権化の前では矛も折れる。
｢ここは何でも屋なのだろう？｣
｢……まさか、君が依頼を？｣
｢ああ。ある男の専属メイドとして、暫くうちの屋敷で働いてもらいたい｣
｢……いや、あの。私が他人の世話を焼けるような人間に見えるので？ というか無理って知ってるでしょ？｣
｢そうだな。しかしお前に依頼する理由はふたつある。ひとつは奴の生活を正すため。正直これはついでだ。本題はもうひとつ⎯⎯⎯｣
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紫紅兎(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがちょうどいい感じに濃くて素晴らしいですね！tntn様との絡みも大変微笑ましいです…過去に何があったのかも楽しみで色々考察しちゃいます、読むたびにマフィアパロって良いなぁと堪らなくなります、更新楽しみにして待ってます (2021年7月3日 1時) (
レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - あの………語彙力ないので簡潔にまとめるとですね……………とっっっっっても好きです。 (2021年5月27日 19時) (レス) id: 19366b94fd (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - ヤベェおもしれぇですよ(？)更新頑張って下さい！！！！好きです！！！ (2021年5月24日 22時) (レス) id: fa1fb43e66 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 夜空さん» 夜空さん、ｺﾒﾝﾄありがとうございます~~！ かなりｷｬﾗが濃い夢主ちゃんなので尊いとまで言っていただけてとっても嬉しいです！ ゆっくりではありますが更新がんばります~~！ (2021年5月16日 20時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - ゆゆゆゆゆ夢主ちゃんが尊い(*´ω｀*) そうゆう性格の女の子の方が私は好きだよ←(何目線??)更新頑張って下さい!!!!! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 947663e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
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