お手軽一喜一憂 ページ5
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確かにいい歳になった今の今まで一緒にいる幼馴染相手にドキドキしろと言うのも無理があるかもしれない。
しかし、私は仮にも乙女である。そうしてトントンは男だ。ひとつ屋根の下、二人きりの寝室。そんな状況で幼馴染もくそもあるか！と言うのが私の見解だ。
｢……私のこと、本当にただの幼馴染としか思ってないんだね｣
｢お、昨日のこと忘れてへんのや｣
｢あんだけ馬鹿にされてけろっと忘れられるほどお気楽な性格してませんけど｣
｢そうやっけ？｣
じとりと睨みぶすくれると、くつくつ喉を鳴らし笑ったトントンが何故かおもむろに掛け布団を引っ掴んだ。そうしてそれを私の頭にぼふっと被せ、その上からぺちりとひとつ、頭を叩かれる。
真っ暗闇の中でぱしぱしと目を瞬かせた。しかし今はむかつくトントンの顔を見たくないのでそのまま大人しく膝を抱える。
｢A、どうせ今日暇なんやろ。振られたし｣
｢一言余計では？……暇だけど｣
｢そんならこの間やらせろ言うてたゲーム、する？｣
｢え、す、する！｣
トントンの提案に胸奥を這っていたむかつきが途端に失せ、ばっと掛け布団を取り払った。彼は既に部屋の扉に手を掛けていて、眩しい朝日と共にだらしなく丸まった背中が目にうつる。
｢ん。その前に朝飯やなぁ｣
｢私作ろっか｣
｢ええよ、俺作る。お前ろくに目玉焼きも作れへんのやから｣
｢トントンだって目玉焼き下手くそじゃんか｣
｢Aよりマシや、マシ｣
｢すーぐ馬鹿にする……｣
もはや私を馬鹿にするのが趣味なんじゃなかろうか。ばかとんとん、いつか見返してやる。なんて小声でぼやき、さて私もリビングへ行こう、と立ち上がろうとした瞬間。
｢⎯⎯⎯いたっ｣
ごちん！と鈍い音。同時にトントンの小さな悲鳴が上がり、腰を浮かせたまま思わず動きを止めた。丸まった背中が余計に丸まっている。そして両手で頭を抱えるトントンの目前の扉は、中途半端に開かれていた。
｢……なにしてんの？もしかして扉に頭ぶつけた？おばかなの？｣
｢……うるさい、寝ぼけとってん、｣
しっかり前を見てたというのに何故開いた扉に頭をぶつけるのか。間抜けなその姿を笑ってやれば、大した反論もなくトントンは再び扉を開いた。が、
｢い゛っ、！？｣
｢ぶふっ｣
ごつん。今度は右足の小指を扉にぶつけたらしい。いや何してるの？堪えきれず吹きだせば、キッと鋭く睨まれ視線を逸らした。……いや朝からほんと間抜け。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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