らしさが大事 ページ30
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｢もう一回｣
｢いくらでもどうぞ｣
私はブチ切れていた。そりゃもう、目の前にちゃぶ台があれば容赦なくひっぺ返したいほどに。
｢〜〜〜っなんで！学生の頃はいつも私が勝ってたのに！｣
｢記憶改変やめてくれへん？今も昔も勝ってたのは俺｣
｢オタクくんさあ……女の子相手に本気出して恥ずかしくない？｣
｢余所見しとるとまた負けるで｣
｢あっ｣
ガチャガチャ、いい歳してアーケードゲーム相手に本気になる大人ふたり。たまたま通りかかったゲームセンターで懐かしいものを見つけてしまって、食いついて、それから私はずっと負けっぱなしだ。
｢また負けた……ぐやじい……もっかい｣
｢ふは、ほんま負けず嫌いやな｣
｢トントンもでしょ｣
｢おん。だから負けてやったりなんてせえへんよ｣
調子よくほくそ笑むトントンを睨んでもう一戦。ところがやっぱり私の画面には負けの文字しかやってこない。私が恋に仕事に忙しくしている間も彼は腕を磨いていたのだろう。悲しい男め。
流石に適わないと悟ってため息を零す。おう、私はあきらめの悪い女……見てろよ、宿敵。今は敗走やむなしとしても、いずれは勝つ。絶対、勝つ。
｢……お前さ。やっぱ無理に作っとるより、こうやって可愛げなくぶすくれてたり、品もなく口開けて笑っとる方がずっと似合っとるよ｣
｢……え、？なに急に。馬鹿にしたの？｣
ボタンを叩く手を止めた時、隣のトントンは何やらふにゃふにゃ、力のない笑顔を見せてこちらを真っ直ぐに見ていた。あれ、今日イチ楽しそうな顔してる。
｢いや……正直、Aがらしくないことばっか言うからちょっと、緊張しとった。けどいつも通りのお前見たらなんか安心したわ｣
｢だ、だって今日はデートだもん｣
｢そうやな。……やっとまともにお前のこと見れた。可愛ええやん、そのワンピース｣
｢……へ、｣
｢ん。ほんまに可愛ええ、よう似合っとる｣
いつもの私なら着ないような、膝上でひらりと揺れるワンピース。赤い花弁が散りばめられたそれを指さして笑ったトントンのせいで、どうしてか、顔中が熱い。
可愛い、なんて。いつも言ってくれないくせに。
｢……っはは、なに照れとんの｣
｢う、うるさいうるさい。花粉症なの｣
｢関係ないやろそれ｣
心臓が、うるさい。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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