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休日、特攻 ページ27

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 次に目が覚めたのは太陽がすっかりてっぺんに登った頃だった。布団の中にトントンはおらず、のそのそとリビングへ体を引きずらせれば「お、寝坊助起きたんか」なんて言って笑うトントンがソファーに転がっていた。


「起こしてくれればよかったのに」
「休みやしええかなって」
「……そうだ、お休みじゃんね、きょう」


 まだぼやつく頭を振って、ソファーの足元に座り込む。ぼやぼや、ねむたい。けれど、そっか。今日はお休み。


「……ねー、とんとん。予定は?」
「Aがここに居座るなら、ゲームでお前をぼこす予定」
「う〜ん、却下」
「あれ、珍しい。お前が食いついてこないなんて」
「デートしない?」
「……で、」


 ガコンッ、と何やら鈍い音。なんだなんだ、と首を上にあげて彼を見てみると、どうやら仰向けになって弄っていたスマホを顔面に落としたらしい。


「なにしてんの」
「……デートなんて着飾って言うなや。いつも通り好きなとこ遊びに連れてけって言えばええやんか」
「ううん、今日はデートだよ」
「は、?」
「幼馴染の楽しい休日、じゃなくってね。恋人みたいなデート、しよ」
「…………お、う」


 たっぷりの間をもって、トントンの頭が縦に振られる。これは拒否しないんだ、なんて思いつつ嬉しくなって笑えば、勢いよく体を起こした彼はそっぽを向いて床に足をつけた。


「……なんやねん、急に。らしくないこと言うやんか」
「うん。本気でどうにか君に好きって言わせようと思ってるから、手順踏もうかなって」
「……あっそ」
「可愛い服着ていきたいから家寄ってもらっていい?」
「ん」


 さあて、どこに行こうかな。行先を迷いながら寝癖を直すために洗面所へと向かう。


 私は、焦っていた。今朝の厭な夢が残した気持ち悪さに。冷たい声に。言葉は覚えていないけれど、それは彼だったような気がして、ならないの。

 ちがう、きっと違うけれど、あんな思いをする前に早く君に好きって言わせてやらなくっちゃ。



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くすぐる変化→←曖昧な夢のあつさ



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るな? - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました!ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか!? (2022年3月5日 2時) (レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜!みんなドキドキしてくれ!の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…!本当にありがとうございました! (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜!イッキ見!楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…!最後までありがとうございました! (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴぷ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月4日 21時

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