目覚めの一撃 ページ20
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翌朝、目が覚めた時。私の隣にはやっぱり大きな背中があった。随分と寝相のよいことで。私なんてトントンから掛け布団を丸々ぶんどって、彼の背中を見ながら目を開けたって言うのに。
夏が近いとはいえ寒かっただろうか。｢ほんま可愛くないな｣とため息をつく彼の顔が目に浮かぶ。うるさい、ばか。朝から失礼なやつめ。
｢……ばか、ほんとに、ばか｣
そっと、その背中に額を寄せた。ここで眠っていたのが私じゃなくて、あのかわいい子だったらトントンは寒い思いをしなかったかもしれない。背中なんて向けずに、その腕でぎゅっと抱きしめながら眠っていたかもしれない。
冷たい背中のせいで私の思考は朝からずぶずぶと沼の底へと沈んでゆく。最悪な朝だった。腹いせに彼のアラームを止めてやろうかとも思ったけれど、流石にそれは止めておく。
｢……おきろ、とんとーん！｣
｢ッぐ、！？｣
代わりにめいいっぱい、背中から抱きついてやった。息が詰まるくらいにね。かわいくない私に抱きしめられて目が覚める朝はどうだ、ばかとんとん。
｢っ、ば、おま、ぐるし、｣
｢ふふ、どーだ。参ったって言ったら離してあげる｣
｢朝から、なんやねん……！｣
怒った声。ああ、あの子だったら｢おはよう｣ってかわいい声で君を優しく起こすんだろうな。それで、君もしあわせいっぱいみたいな顔をして微笑むんだろう。げろ甘い。想像しただけで胃から砂糖が逆流してきそうだ。
くやしい。
｢おいこら、ええ加減に、せえよ……！｣
｢あぇ、っ！？｣
彼のお腹を力いっぱい抱いていた右腕が掴まれ、そのままぐんっと引っ張りこまれる。そのまま彼の体に乗り上げ、さらには肩まで押されて私は一瞬のうちにごろんとさっきまでいた場所から反対側まで転がされた。
敷布団のない冷たい床に私の腕と肩を押しつけられて、天井を仰ぐ視界にはムスッとへの口を浮かべる彼の顔がある。なかなか芸術的な寝癖もあった。
｢……朝から女の子を押し倒すなんてさいてー｣
｢喧しい。俺は自分の身を護っただけや、この猪女｣
｢キレそう。いやもうキレてる｣
｢そりゃこっちの台詞なんやけど｣
朝っぱらからいい年した男女が寝室でこんなシチュエーション。私がこの間読んでいた少女漫画だったらとっくにキスのひとつでもしてるってのに私たちときたらこの有り様である。
くやしい。ほんとうに、くやしい。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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