私だって知ってるの ページ2
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｢……それを全部直したら、私は幸せになれるんでしょうか。トントン先生｣
｢さあ？｣
｢むかちん……もういい。私だってトントンの悪いところいっぱい知ってるんだから｣
言われてばかりじゃ癪である。自分から言って、と頼んだわけだが、そうポンポンと容赦も躊躇もなく挙げられては私のプライドがひたすらに殴られるばかりで許せない。
｢ひとつ、時間にルーズ｣
｢お前もやんか｣
｢……ふたつ、怒りっぽい｣
｢お前が怒らせとんのやろ｣
｢みっつ、……みっつ、靴下がくさい｣
｢それはすまん｣
｢ぐう、素直でよろしい｣
｢他は？｣
｢ほか｣
ぐるぐる、思考を巡らせる。トントンへの文句なら日々山ほど募っている、はずなのに。あれ、おかしい。スっと出てこない。
｢お前、だいたい寝たら嫌なこと忘れるやんか｣
｢う、トントンへの不満すら忘れるなんて……｣
｢せやから、ほら。今日のことも寝て忘れたらどうや｣
惨敗なんていつものことやろ、なんて言って腰を上げたトントンが私の寝転ぶソファーに座り込んだ。そうして伸ばされた手がするり、私の絡まった髪を梳かしてゆく。
｢……それ、眠くなるから｣
｢知っとる。大人しく寝とけって｣
｢やだ……まだビールのみきってない｣
｢お前がぎゃあぎゃあ騒いどる間にぬるくなってもうたよ｣
｢……じゃあ、いーや｣
ぬるいビールほど、まずいものはない。
途端に重さを増した瞼に逆らえず、抗うこともやめ、そっと視界を閉ざす。トントンの言うとおり。どうせ、わたしは寝てしまえば嫌なことなんて忘れるのだ。
｢……そういうとこもやぞ｣
なにか、言った？
口を開くのが億劫で、心の中で聞き返した。それなのに｢いや、なんも｣と続けたトントンはエスパーかなにかだろうか。
｢……寝顔が間抜けなとこ。寝相が悪いとこ。寝言がうるさいとこ｣
｢いやまだ続けるんかい、｣
流石に口を開いた。こいつ、とことん私をコケにしたいらしい。
｢……それを、簡単に知らんやつに見せてまうとこも｣
｢……ん、え？｣
｢女として恥ずかしくないんか｣
｢そういうこと！？｣
｢ほかに何があんねん｣
なんだ。ほんの一瞬だけ、心臓がはねた。俺以外に見せるな、とか。そんな気恥しいことでも言われるのかと思って。……いや、柄じゃないか。
それに。
私たちはただの｢幼馴染｣だし、ね。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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