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トントンを除き、前回と同じメンバーが揃った個室で気持ちが晴れないままビールジョッキを傾ける。
私より後に来たグルッペンが不参加の筈の私を見て驚いていたが「コネシマに無理やり引きずられた」と言えば彼がコネシマに長々と説教をしてくれた。それは未だに続いており、そんな二人の姿を眺めながらちびちびとビールを減らしていく。
「Aさん、何か元気なくないですか？」
「コネシマのせいだよ」
「…ほんまに？」
普段はトントンが座っている私の隣に、今日はチーノくんがいる。そんな彼が何やら疑わしそうに、今時流行らなそうな瓶底メガネの奥で目を細めた。
「トントンおらんくて寂し？ごめんなぁ、あいつみたいに俺、あんまおもろい事言われへんねん…」
「…ふふ、何でチーノくんが謝るの。いつも通り楽しいよ」
「……うーん、ちゃうねんなぁ」
「え？」
何が、と聞く前に、何故かチーノくんの片手が私の頬をむにっと摘み上げた。何がしたいのか分からずただ目を瞬かせれば、まだそんなに呑んでいない筈なのに既に顔を赤くしている彼がにひ、と笑う。
「Aさんって、もっとこう…幸せそーに笑うんやで。いっつもな、あいつの隣で笑っとるAさん見とったから、無理しとるの分かっちゃいますよ」
＿＿＿＿"やっと笑ってくれた！ふふ、俺な、今ほんまに嬉しいわ！"
目の前のチーノくんの声と重なるように、頭に響いた声にはっと目を丸くした。
今のは、私の記憶の中にあったチーノくんの声だろうか。
「おいコラ、チーノ？あんまAちゃん構っとると、とんちに言いつけんで？」
「え"、ちゃいますやん先輩！別になーんもしてませんって！」
「ごめんなぁ、Aちゃん。嫌やったら引っぱたいたってええからな」
＿＿＿＿"そのリボン、よう似合っとるけど結んだ奴はえらい不器用やなぁ。誰か分かるけど"
少し離れた席からへらりと笑った大先生の声にも、記憶の声が重なる。
胸を締付けるようなその、懐かしい声。夢の中で聞いたものよりも、ずっと鮮明にあの頃の気持ちが蘇るようだった。
「あれ？…え、Aさん？」
「Aちゃ、っえ、ご、ごめんな！？俺、何か嫌なこと言うてもうた！？」
チーノくんと大先生の動揺したその声に、はた、と目元が酷く熱を持っていることに気がついた。瞬きすれば頬に流れる物を感じて、あれ、と俯く。
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夜狐 - んもう好き……() (2021年7月3日 14時) (
レス) id: 587d00a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさん、まさかの周回ありがとうございます…！完結から日の経った今でもこの作品を読んでいただけていることが心の底から嬉しいです…！；；；； (2020年12月27日 1時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 再び読みにきてもう、やっぱり好きです (2020年12月20日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 宙さん» 宙さん、コメントありがとうございます〜！タイトルの意まで気づいていただけでとっても嬉しいです；；；；最後までありがとうございました！ (2020年9月2日 21時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 神作。なんて素敵な終わり方なんだあ！題名の意味3か4シリーズぐらいでもしかしてって思ったけど感動したーー！なんて素敵な作品なんだ！！ (2020年8月27日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
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