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「…その平行世界とやらでの、お前の最後の日の記憶を教えてくれ」
「え？」
グルッペンからの予想もしていなかった言葉に首を傾げる。最後といえば大したものではないが、じっと睨むように俺を見るグルッペンからの圧力に負け、最後の日を何となく思い出しながらポツポツと語った。
「…何でもない日やったで。朝起きて、そっからずっと部屋に籠って仕事しとった。気付いたら夜で、大先生が書類提出に来て…それで、多分うたた寝してもうたんやと思う。目が覚めたらこの家におったわ」
「食事は、書記長室で摂ってたのか」
「え？ああ、せやな…って、…ん？なんでお前がそれを、」
「大先生以外の仲間と、顔を合わせていないんだな？」
「お、おん」
この世界で聞く筈もない自分の肩書きがグルッペンの口から出た事に驚いたが、ふと昨晩Aの言っていた言葉を思い出した。幼馴染と俺は記憶を共有している、だったか。何故その結論に至ったかは知らないが、だとしたらグルッペンもそうなのか。
「直近で、大きな戦争はあったか？」
「……」
ない、と応えようと口を開き、言葉が喉を通る前に咄嗟に飲み込んだ。
待て、本当になかったか？俺達は、他国に目を向けていられる程の余裕はなかった。それは覚えている。なら、それは、何故？
「…内戦があったんじゃないのか」
グルッペンがすっと目を細めて言い放った言葉に、どくりと心臓が大きく脈打った。嫌な汗がじわりと背中ににじみ、喉がきゅっと狭まったように呼吸が浅くなる。
「お前は、その時の出来事から逃げているんじゃないのか」
「…ぁ、ちが、」
「逃げるな、トントン」
グルッペンは、答えを知っている。
「この世界は、お前にとって幸せな世界だっただろう。だが、お前は本当にそれでいいのか？」
「っ、やめてくれ、」
俺が、何から逃げ出したのか。
「お前の愛した者は、此処にはいない」
「ッ分かっとんねん！！」
ああ、そうや。ちゃんと、分かっとる。
幾ら縋ろうが、泣こうが、閉じこもろうが、
此処が、俺の居場所にはならないってことくらい。
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夜狐 - んもう好き……() (2021年7月3日 14時) (
レス) id: 587d00a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさん、まさかの周回ありがとうございます…！完結から日の経った今でもこの作品を読んでいただけていることが心の底から嬉しいです…！；；；； (2020年12月27日 1時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 再び読みにきてもう、やっぱり好きです (2020年12月20日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 宙さん» 宙さん、コメントありがとうございます〜！タイトルの意まで気づいていただけでとっても嬉しいです；；；；最後までありがとうございました！ (2020年9月2日 21時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 神作。なんて素敵な終わり方なんだあ！題名の意味3か4シリーズぐらいでもしかしてって思ったけど感動したーー！なんて素敵な作品なんだ！！ (2020年8月27日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
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