3 ページ6
.
「で、でもさ、協力してもらうのは良い手じゃない？」
「んん、そうかもなぁ。けど、それもうちょい待ってくれへんか？一生懸命Aが探ってくれようとしとるのはほんまに嬉しいんやけど、正直同じ顔とは言え俺はA以外の人間とはあんま関わりたくないねん」
「……なんで？」
「Aの友人らは、俺の友人にそっくりでも別人な訳やろ？なんというか、こう……自分の中で一緒にしたくはないんや。話が出来たとしても、多分いつものようにはいかへんやろから、気が紛れることはないやろなぁ」
申し訳なさそうに苦笑いを浮かべたトンくんの言葉にハッとした。そっか、確かにそうだ。トンくんにとって私の友人たちは他人の空似な訳で、彼が気を許して話の出来る友人ではない。それなのに、私は彼の友人たちの"代わり"のような物言いをしてしまった。私もトントンとトンくんを一緒には考えていないというのに。
「ま、エミさんと話した時は俺の知っとるエミさんとまんま同じやったから、確かに話しやすいといえば話しやすいねんけど」
「っご、ごめんなさい。トンくんの気持ちも考えないで、」
「ふふ、別に謝ることないやろ？それに、協力者を増やすっていうのはええ考えやと思うし。ただ、それはほんまに手詰まりになった時、にとっといてもええかな？」
「……うん、そうしよ。最終手段、ね」
「おん。ごめんな、折角考えてくれたっちゅうのに」
「ううん、もっとちゃんと考えるべきだった。少しでもトンくんの力にならなきゃって焦っちゃって、……ほんとにごめんね」
「ええって、何にも気にしてへんよ。Aは十分過ぎるほど力になってくれとるし、俺が言うのもあれやけど、あんまり考え込まんでええからな？」
そう言って優しく笑ってくれるトンくんを見たら、何だかぎゅっと胸が苦しくなった。彼は沢山悩んでいるのに、私にそれを悟らせないよう隠している気がしてしまう。考えすぎ、だろうか。
トンくんの為になにかしてあげたいのに、私は彼が故郷へ帰るための手助けを何ひとつしてあげられていない。衣食住を提供するだけ、なんて根本の解決にはならないのだから。……やっぱり、もっと調べてみるしかないのかな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 666人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴぷ(プロフ) - みおさん» みおさん、初めまして！一番！？嬉しすぎて泣きましたありがとうございます(；；)更新頑張ります〜〜！♪ (2019年12月26日 23時) (
レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
みお - 初めまして、いつも更新楽しみにしております！tんさんのお話で一番好きです.......この先の展開がとても気になってドキドキワクワクが止まりません！これからも更新頑張って下さい(○´ｰ`○) (2019年12月26日 11時) (レス) id: 0d2c4c6642 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - ぴぷさん» ほんと！？楽しみにしてるね！！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2019年12月26日 0時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 鯉口さん» 鯉ちゃん(*><*)ありがとう〜〜〜！続編は明日上がる気がするので続きも是非ぜひよろしくお願いいたします♪♪ (2019年12月26日 0時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - taka10さん» 訂正ありがとうございます(*><*)長い話になってしまってますがこの先も是非よろしくお願いいたします♪ (2019年12月26日 0時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
