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｢信じらんない信じらんない信じらんない！！｣
｢っおい、コラ、集中力切れるからそのうっさい口閉じや｣
｢これは夢、これは夢……！｣
｢あ、そこの信号左な｣
｢そういうのはせめて一分くらい余裕もって言ってくれる！？｣
腕がちぎれそうだ。聳え連なるビル群、必死の表情で逃げ惑う民間人、逃げたくとも大渋滞で動けない高級車の山。私が車を走らせられる場所といえば極わずかな隙間で、車体の半分は歩道に乗り上げそれでも莫迦みたいなスピードで駆け抜けていた。だって、バックミラーには同じく莫迦みたいなスピードで追い回してくるスポーツカーがあっちにも、こっちにも。オマケの銃弾付き！ たまったもんじゃない。こんなの、悪夢に決まっている。
｢ッ、ちゃんと、掴まってなさいよ…！｣
｢言われんでも｣
汗ばんだ手でハンドルをめいいっぱいに切る。3000…4000…エンジンの回転数を耳で聞き、ほんの少しだけ落ち着かせた心で二速へ⎯⎯⎯確実に、確実に、前へ。クラッチを繋げれば、彼が指さす信号の下を通過すると同時にリヤがギュルル、砂塵と煙を巻き上げ軽快に滑り、車体は左へと流れてゆく。
絶叫、轟音の中、一際目立つ愛車の排気音が地を揺らした。その瞬間だけはどれだけの危険に晒されていようが酷く心地が良くって、けれどリアバンパーがガガガ、と縁石にぶつかり削られていく音が私の興奮も一緒にそぎ落としていった。
｢⎯⎯⎯っ、次は！｣
｢しばらく直進。スピードは落とさんでええけど、もうちょい…真っ直ぐ走れへんか。弾が当たらんわ。あと酔いそう｣
｢無茶言わないで、よ…！｣
｢ヘタクソ｣
僅かにも恐怖心を見せない彼は平然と窓から顔を出し、そうして聞きたくもない銃声を轟かす。あろうことかこの状況で文句の供えつきだ。
｢………看板に頭引っ掛けて落っこちればいいのに｣
｢風の音でなーんも聞こえへーん！｣
｢そのまま落っこちろばあか！首もげても知らん！眼鏡も落っことして割れちゃえばいいのに！ばあか、ばあ、ッいだ、！？｣
｢喧しい｣
バチンッ、とこめかみに強烈なデコピンをくらい、痛みに奥歯を噛みしめる。もう、本当に、さいあく。
生きる？やめた⎯⎯⎯そんな莫迦なことを考えていた気がする。けれど実際、自分がこんな目にあって。四方八方を死の恐怖で塞がれた途端に、手のひらくるり、生きたくなった。アクセルに力が篭もる。死ぬのは、やっぱり尋常じゃなく怖いんだ。
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ぴぷ(プロフ) - Adlerさん» Adlerさん、はじめまして！ｺﾒﾝﾄありがとうございます~！そう言っていただけてとっても嬉しいです！わたしもﾃﾝｼｮﾝﾌﾞﾁ上げで頑張ります！ (2020年10月11日 14時) (
レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
Adler(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！The戦争屋の小説でテンション上がっています！更新頑張ってください！！ (2020年10月11日 11時) (レス) id: 17a3f4fea4 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - レーナ（アンテファン）さん» レーナさん、コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとっても嬉しいです☆ 更新がんばります~！ (2020年10月7日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
レーナ（アンテファン） - 面白い小説を発見☆頑張ってくださいー (2020年10月6日 22時) (レス) id: c89295cbe6 (このIDを非表示/違反報告)
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