No pain, no gain. ページ12
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⎯⎯⎯あんな胸くその悪い記憶を思い返してしまったのは、このGT-Rに乗って、全ての始まりだったあの空港の横を駆け抜けたからだ。
彼が、鬱が本当にやさしいだけの男であったなら、私は今、人や車や建物が犇めくこの街中をクラッシュの恐怖なんて顧みずに莫迦みたいな速度で駆け抜け怒り狂ったジャンキーたちから逃げる、なんてアクション映画顔負けの逃走劇を繰り広げることなんて絶対に、絶対に、なかっただろう。
｢っはは！ええやん、流石R35。加速性能はピカイチやなぁ。あんたの運転は最っ悪やけど｣
｢なんでそんな呑気に笑ってられんの！？頭おかしいんじゃない！？｣
｢数秒後には仲良くお陀仏かもしれへんのやから今のうちに楽しんどけって｣
｢怖いこと言わないでよばかぁ！｣
助手席で長い足を組み、けらけらと流れる景色を笑う赤いマフラーの男。彼はギャングだろうか、マフィアだろうか、何にしろ彼が人道から逸脱したネジのぶっ飛んだ何かであることは確かだろう。
｢思っとったより敵の数が多いな。あんた、何やらかしたん？｣
｢……八百長レースのシナリオぶっ壊して、好きに走っただけ。車は押収されて、偉そうな奴の前に突き出されて。散々罵倒されてカッとなっちゃって、ピッチピチのパンツの上からタマに齧りついてやったの｣
｢おー、こわ。で、このザマか｣
｢だって、信じらんない！ただの女ひとり相手に何十人も黒服が出てきて、遠慮なしに発砲しまくって！こちとら車もないってのにもーさいあ、っンぐ、！？｣
｢あんたの愚痴は別に聞きたかないねん黙っとけ｣
ギリギリと右手でハンドルを握り、怒りのまま乱暴にシフトレバーを左手で攫おうとした瞬間。助手席から伸びてきた手が、私の口に何かを突っ込んだ。
ガチん、と歯がソレを噛む。錆びた鉄の味が口に広がった。なにこれ、と視線を下げようとすれば、彼はすかさずソレをピンッと音を立て引っこ抜き、何故か外へと放った。口にはまだ何かの物体が残っている。まるでワインの栓抜きにでもされた気分だ。
ところで一体この鉄はなんなのだろうか。
そう、疑問し吐き出し僅か一秒後⎯⎯⎯後方からけたたましい爆破音が響き渡った。
｢……は、？｣
｢おお、ええ感じに吹っ飛んだな｣
バックミラーを見るのが恐ろしくて、私は遠く、遠くに広がる海を見た。爆破音の後、連なるようにして響くのは耳を塞ぎたくなるようなクラッシュ音。
この男、恐らく、とんでもない物を投げた。
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ぴぷ(プロフ) - Adlerさん» Adlerさん、はじめまして！ｺﾒﾝﾄありがとうございます~！そう言っていただけてとっても嬉しいです！わたしもﾃﾝｼｮﾝﾌﾞﾁ上げで頑張ります！ (2020年10月11日 14時) (
レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
Adler(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！The戦争屋の小説でテンション上がっています！更新頑張ってください！！ (2020年10月11日 11時) (レス) id: 17a3f4fea4 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - レーナ（アンテファン）さん» レーナさん、コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとっても嬉しいです☆ 更新がんばります~！ (2020年10月7日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
レーナ（アンテファン） - 面白い小説を発見☆頑張ってくださいー (2020年10月6日 22時) (レス) id: c89295cbe6 (このIDを非表示/違反報告)
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