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「ストップ」
「ん？」
「ん？やないわ。左手、危ないやろ。ちゃんと猫の手にせんと」
「ねこのて」
簡単に野菜炒めとお味噌汁でも作ろう、と手始めに洗った人参を切ろうとしたところでトンくんが包丁を握る私の手を掴んで止めた。そういえば昔、トントンにも同じことを言われた気がする。
言われた通りに左手をきゅっと握ってから再び包丁を下ろせば、隣でお湯を沸かしているトンくんが「ふ、」と小さく笑った。
「もしかして、普段あんま料理とかせえへん？」
「秒でバレた……女の癖に情けない」
恥ずかしすぎる。どうやら私の人参の切り方がざっくばらんすぎたようだ。確かに切った分を見てみると大きさも形もそれぞれでお世辞にも綺麗とは言い難い。相手は居ないがそろそろ花嫁修業した方が良いのかも。
「まぁ、俺もそんなにやけど。このお湯どうするん？」
「申し訳ないけどインスタントのお味噌汁にするからそこの袋開けて放り込んでもらっていい？」
「いんすたんと？」
「え？うん。即席で作れるやつ」
「はえー、そんな便利なもんがあるんか」
私が指さした袋を手に取ったトンくんが、それを物珍しそうに眺めて沸騰したお湯の中へと投入する。インスタントを知らないなんて何処のお坊ちゃまなんだ。
それよりも、トンくんの口から嫌という程聞き慣れた幼馴染の口癖が飛び出してきたことの方が驚きが強い。はえー、って。口癖まで一緒なら最早本人じゃないか？どういうこと？実は本当にトントンで、私のこと騙してからかってたりする？……いやいやいや、流石にそれはないか。
「その野菜は？」
「あ、野菜炒めにしようかと。豚肉もあるよ」
「ん、そんなら俺炒めるわ」
「ありがとー」
私が適当に切り刻んだ野菜たちをフライパンに入れてパッパと炒めてくれるトンくん。炒めてるだけなのに手際が私と段違いでとても悔しくなる。その横でパックのご飯を電子レンジでチンする私との差よ。流石にお米を買って帰る余力は無かったので許して欲しい。
しかし、何だかこれ、新婚さんみたいだなぁ。
手持ち無沙汰になったせいで年甲斐も無くそんなことを思ってしまう。いや、寧ろこの年で彼氏の一人もいないから思うのか。寂しい女め。……自分で言っていて何だか悲しくなってきた。
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ぽっぷこーん(プロフ) - CSSのON/OFF出来るようにしてくれると嬉しいです。デフォに慣れてるとあまり落ち着かなくて……無理でしたらすみませんが、ご検討よろしくお願いします。めちゃくちゃ面白くて好きです。見てる途中です (2021年11月4日 17時) (
レス) id: 23b3a74ded (このIDを非表示/違反報告)
都 はなれ(プロフ) - はじめまして、ひぷさんの他作品から来たものです。CSSが切れないので設定の方変えていただくことは可能ですか？都合のお願いで申し訳ありませんがよろしくお願いします。 (2021年2月6日 22時) (レス) id: 70f991d98e (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 倉の中の石さん» 倉の中の石さん、初めまして！そう言っていただけるととっても励みになります。ゆっくり更新になってしまいますが、是非この先も楽しんでいただけたら幸いです。 (2019年11月21日 18時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石(プロフ) - めっさ面白いです！夢主ちゃんがヒロインヒロインしてなくて非常に好感が持てますね！更新頑張って下さい。応援してます！ (2019年11月20日 2時) (レス) id: b9ac23ea5c (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 零さん» 零さん、初めまして！お目通しいただきありがとうございます。上手く違いを出せているのかとても心配だったのでドキドキしていただけてとっても嬉しいです！これからもどうぞ、当作品を宜しくお願いいたします。 (2019年11月10日 23時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
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