教えて、恋のFlavor (ページ10)

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好きに隠した気持ちのペースページ10

in side

「…好き…好きだよ、いのちゃん…」

「…ほぁ…？」

いつもの楽屋で、でも何故か誰もいなくて。
そんな中で大ちゃんは突然その言葉を口にした。だだっ広くて俺達以外誰もいないから、声は大きく木霊する。

「…ん…、好、き…好きだ…」

ゆっくりと、大ちゃんが近づいて俺を抱き寄せた。小さな体が一生懸命になって、背伸びをする。
お互いの瞳の奥がぶつかり合って、吸い込まれる。
唇が近づいて、反射的に目を閉じ＿＿＿＿

「…っは！…ん…？」

ピピピピピと規則的な音が耳元でなって、ぼやけた目を何度か瞬きする。
いつもと何一つ変わらない自分の寝室。
カーテンから差し込んだ光が揺れて、水族館のような幻想的な世界を作っていた。
今までの状況全てが頭を駆け回って、反射的に顔を伏せる。

「….だっさ…」

アホらしい夢だ、と思った。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

俺は多分、今焦っている。
あの日から気が付けば1ヶ月経っていて、未だ変化は無い。
日付と共に関係性が深まればいいのに。
そんな淡い期待は外れて今日はあんな夢まで見てしまった。

恋愛のやり方。
ぶっちゃけそんなの知らない。
だってそれは自分で見つけるものであって、他人が探し当ててくれるものではないから。
でも、「こういう気持ちは恋なのか？」と尋ねられれば答えることは可能だ。

大ちゃんからのその質問はあとどのくらい先なのだろうか。

「おい、何ボーっとしてんだよ」

「わ、大ちゃん」

ん…？大ちゃん…？
こんな晴れた朝の時間に？
何度も時計を確認したが、まだ朝の9時だ。彼と朝日が降り注ぐ光景が対照的で、焦りを感じる。
大ちゃんにしては頑張ったじゃないか、早起き。

「今日早いじゃん、雪降るんじゃね？」

「雪は振らねーよ。だって、そうすれば早く会えるだろいのちゃんと」

…お？

「へ、変か？コイビトだろ！俺達…。早く行こーぜっ」

…ん？

「…あ、あと！手！繋ぐから！」

…。

なんだこの積極的な姿勢！！！！！！！

その後は理性を保つのがとにかく大変だった。撮影だっていつになく距離感が近い。後ろから抱きついてくるし、手を繋ぐ時だって何故か恋人繋ぎだし。
しかも話すとき、「恋人」が強調されている気がする。
何だ、何が原因だ。
キスか？1週間前ついしてしまったキスか…？