教えて、恋のFlavor (ページ8)

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「今日でなんだかんだで1ヶ月くらいじゃね？」

「はや、もうそんな？」

「友達」→「コイビト」に乗り換えてから、目まぐるしい日々の中で一月。
バッジは変わってみたものの、心の変化はまだない。友達の延長戦がうだうだ続いてるような気分だ。

「でもやっぱ彼女とは別れて正解だったね。大ちゃんといる方が100倍も楽しーもん」

「あら？そう？それは嬉しいわ」

「大ちゃんは？」

ヒヤリとした。
自分は。自分はどうなんだ。
確かにいのちゃんといると楽しい。
楽しくて楽しくてたまらない。
でもそれってレンアイには繋がらない気がする。

「…俺、は…。俺はまだ…分かんない」

「…そっか。ゆーっくりで大丈夫だから。ゆっくりでさ」

そう言ってい向かい合っているのちゃんは、すっと俺の手を取った。白くて、長くてとても男とは思えないキレイな手で、俺の骨ばった手を包む。
少しぬるいような、そんな温度は冷え性の俺には最適だった。

「いのちゃ、ん？」

俺の手を慈しむように、彼の指が手の甲を撫でる。お互いの手がいくらか交錯した後、きゅっと指を絡めた。
これがちょっとした"コイビトツナギ"なんだろうか。

「…」

そっと顔を上げるとすぐ近くで虹彩と虹彩がぶつかり合った。
彼の真っ直ぐな黒瞳に体全体が吸い込まれていく。
いつもまじかに見る彼の顔。
距離感がおかしい、なんてよく言われていた俺達。
それでもいつだっていのちゃんからピントが外れることはなかった。

今は自分の瞳が音を上げるほどに彼の顔がぼやけて。
絡めた左手に力が入るのと、俺の唇に柔らかい唇が重なったのは同時だった。