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「そっか〜これがデートか。いのちゃんとコイビトって変な感じ」



歯を見せて二カッと笑う。
そりゃそうだ。彼にとっては「親友」が「恋人」という称号に変わっただけ。
気持ちの部分では何一つ変わりない。
言ってしまったのは自分、関係を表面上変えてしまったのも自分。




「でもいつか人をちゃんとスキだーって思う日とか来んのかな」




携帯を弄りながら、独り言の用に零す君。
こんな純情な彼を巻き込んだのも自分。
大ちゃんに対する想いを押し込めることができなくなってしまったのも自分。



「そしたら、楽しいだろーな、レンアイ」



苦しい想いから逃れたくて、縋り付いてしまったのも自分。
独りよがりな感情が右往左往しているだけ。
それでも、それでも。



「お、着いた。んじゃ、ありがとないのちゃ…」



車のフロントドアにかけた手を取り、体を引き寄せた。心地よい体温がそのまま伝って全身に行き渡る。



「どした?ちゃん」

「ちょっとだけ」



うなじから香るシャンプーの匂い。
少し擽ったくて身を捩らせた衣擦れ。
俺の乱れた脈拍とは対照的な規則正しい心臓の音。
そっと体を離すと、その顔は少し悪戯顔になっていた。



「ははん、いのちゃん寂しーんだろ。27のいい歳したおっさんが寂しがってる笑」



「うるさいね大ちゃん、早く降りなさい」



ケラケラと笑う彼を横目に俺も吹き出した。
お互い手を振って、ドアを閉める。
大ちゃんは車が見えなくなるまでぶんぶんと手を振っていた。
空の橙はゆっくりと沈んで、青色が静かに見送る。




「…早く…好きになんねーかな…」




まだ始まったばかり。俺たちは本当に始まったばかりなのに。
始まりがなかなか感じられなくて、気持ちは焦るばかりだった。

君から僕に→←早る鼓動と気持ち



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作者名:きなこも | 作成日時:2018年3月20日 18時

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