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in side
あ、言っちゃった。
なんてどこか他人事のようにポツリと思う。
一度出てしまった言葉は取り消せない。
大ちゃんは、引くだろうか。
「…ちゃん…酔ってんの?」
「酔ってないよ」
「酔ってるよ」
「酔ってない」
二人の言葉が重なっていく。
お互いなぜこんなにも意地っ張りになっているのか分からない。
「酔っている」という言葉の裏に隠したお互いの気持ち。
冷や汗をかいた手をさっと後に隠した。
「ごめん、やっぱ酔ってた〜、大ちゃんサイズちっちゃいから、女の子と見間違えてた」
ははっ、と乾いた笑いを出して、前に佇む彼を追い越した。
こんな歪んだ気持ち、顔、姿勢、全部が見られたくなくてひたすら前を歩く。
愚かな自分を心の中で叩きつけ、精一杯平然を装った。
「…待、て…よ」
パタパタと走る足音が聞こえてきて、振り返るのを躊躇った。
しかし、大ちゃんが俺のコートの袖を引いてその言葉を口にした途端、抱きしめたい衝動に駆られながら後ろを向く。
「嘘…つく時いのちゃん、手ぇ後ろに隠すのなんて知ってんだぞ」
いつもより水分を多く含んだ黒目がじっとこちらを見つめる。その虹彩の中の俺は、一体どんな風に映っているのだろう。
突然の仕事仲間からの恋愛対象宣言に引いている?男が男を想うことを非常識的だと感じている?
どちらにせよ、考えるだけで苦しい。
「…いいよ…俺が、コイビト、なってやる。
その代わりに…」
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「えぇ?!マジで言ってる?!」
まぁ、そう驚くのも無理はない。昨日の晩のことを薮に話すと、眠たげな目がカッと開いていた。
自分でも正直驚いた。あのスーパー爆モテリア恋枠の有岡大貴が____。
「いや…大ちゃんそれよく隠し通せてたよな」
なんて裕翔はどこか関心さえもしている。
隣で聞いていた圭人は明らかにショックを受けた顔だった。
もちろん遅刻組の彼はこの朝の楽屋にはいない訳で。着替えながら各々の気持ちを抱えていると、ソファで携帯を弄っていた知念がポツリとこぼした。
「僕は大体予想ついてたけどね。大貴が恋愛未経験のヤリチンだって」
「えぇ!!」
あの可愛い知念の口からそんなお下劣な言葉が出てくるとは…!
メンバー一同目を丸くしたが、知念が先に読んでいたなんてさすがの洞察力。
最年少の彼の頭脳というか、感の鋭さは誰よりも大人だ。
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作者名:きなこも | 作成日時:2018年3月20日 18時