教えて、恋のFlavor (ページ18)

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壊れかけたブレーキページ18

in side

最近、彼への好意が少しずつ変わってきている。
好き。好きだ。
好きはいつも変わらないのだけれど、感情がもっと先を追い越すようになった。

「大ちゃん、またクリーム端っこ付けてるよ、口拭けって」

「は？どこ？ちょ、取って」

「え、あ、うん」

血色のいい赤い唇とコントラストに白いクリームが映える。触れれば弾力があって、思わず手が震えた。

そう、最近大ちゃんが、とても官能的だ。

男としては正当な感情だろう。
ん、？正当？いや、でも相手は男だ。いや、でも…そそられる…もうわけが分からない。

とにかく彼は無防備だ。
可愛らしい耳に付いたピアスや、Tシャツから覗く白い鎖骨。男なのに太腿がムダにむちむちしてて美味そうだ。そのくせして妙に出っ張った喉仏も、歌う声の高さも、俺といる時だけ少し口が悪くなるのも、

全部全部そそられる。

こんな状態で俺の家に彼を呼ぶのもどうかと思うが、大ちゃんの好きなケーキ買っといたから、なんて気付けば口から出ていた。

すべすべの頬を動かしながら、ケーキを頬張って、テレビのお笑い芸人にゲラゲラ笑い転げている大ちゃん。
ほら、また口からスポンジが落ちた。
片付けるのは俺なんだぞ、と思っていても可愛らしさに許してしまう。

「このケーキ、マジうめぇ！なんで俺が食べたいって知ってた？」

「ん？勘のいい俺を舐めんなよ」

嘘だ。本当は彼が食い入るように見ていたネットをチラ見しただけ。

大ちゃんが来た時は真昼間で、4月なのに日中はもう暑い。だからクーラーを付けていたのに、知らぬ間に空は真っ暗になっていて、付けっぱなしのクーラーが肌寒かったことにも気付かなかった。
慌ててクーラーを切り、机の上にぽつぽつと置かれた缶ビールを片付ける。

「今日泊まってく？」

「ん、明日仕事午後からだからそーする」

彼の返事を聞くと、脱ぎ散らかした靴下を選択籠に入れて、適当にスウェットを出す。
家の中にも少しずつ彼用の物が増えていく。

なんだかこういうのは、嬉しい。

先に風呂入ってくる、と告げるとタオルを手に取ってシャワーを出した。大ちゃんに対する気持ち悪い性的な感情を全部流す。
自分の気持ちばかりが先走ってはいけない、まず第一に、自分と同等の感情が彼にあるわけじゃないのに。