コベルトゥーラ･インフェプト《緑》 (ページ42)

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体育祭はあっという間に終わり、私たちのクラスはそこそこの順位を取って終わった。

重い足を動かして屋上に行くと、うみ先輩がグラウンドを眺めていた。

横顔、綺麗だなぁ。なんか、入学式を思い出す。

　

　

　

中村｢...あっ、Aちゃん｣

『遅くなっちゃいました』

中村｢大丈夫だよ。てか、こっちの景色綺麗だから見て｣

　

　

そう言うと、足に負担がかからないようにリードしてくれた。

...ほんとだ。夕日がいい感じにグラウンドを照らして綺麗に光ってる。

　

　

『うわぁ...』

中村｢綺麗でしょ？｣

『すっごく、すっごく綺麗です』

中村｢じゃあ、そのままでいいから、今から俺の話すこと聞いてくれる？｣

『...はい』

　

　

うみ先輩はグラウンドに背を向けフェンスに寄りかかると

あの日のことを話しだした。

　

　

中村｢入学式の日に、めちゃめちゃ可愛い子を見つけてさ、その時は可愛いなくらいで別に何も思わなかったんだけど

半年後かな？10月くらいにその子と偶然話す機会があって、俺その時にビビっと来たの。

やばい一目惚れした！と思ったんだけど、相手には仲良い男子がいたから、意地張ってクールにしてたの。｣

　

　

そこまで話すと、体をくるりと回して

グラウンドを眺めながら、また口を開いた。

これはきっと、うみ先輩が言ってた好きな子の話だ。

そんな前から好きだったんだ。知らなかった。

　

　

中村｢でもたまたま文化祭の日に、一緒に回れることになってこれはチャンスだ！と思って頑張って話したりしてたの。

好きな人と回れる時間あったからその時間来るまでゆっくり話そうと思って。

だけどさ、緊張しすぎてトイレ行きたくなってすぐ戻るって言ってトイレ行ったんだよね。

そしたら、クラスの奴に呼び止められて、人手が足りないから断りきれなかったし、腕引っ張られて好きな子に事情を伝えるにも伝えられなくて

俺その子に何も言わないまま文化祭終わるまでずっと手伝ってたの。｣

『...それって、』

　

　

　
私が口を開くと、唇に手を当てて、もうちょっと聞いて欲しいと言う。

文化祭の話も、入学式の話も、全部私だ。

全部全部、私のことなんだ。

そうわかった瞬間一粒の涙が私の頬を流れた。

　