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元太 side
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パァン!!とピストルが響く。
マジで何回聞いてもうるさすぎてビビる。
「せんぱぁい!!!!頑張れー!!!!」
届いてるかは分からないけど、自分なりに精一杯の声を出す。
少し笑ったのは気の所為だろうか、いや、俺の声が届いてんだ。絶対そうだ。
嬉しくて、先輩を目で追っかけながらもう一度声を出そうと息を吸った時、フッと先輩が視界から消えた。
「...せんぱ........い、」
俺が助けなきゃ
そう思って走り出そうとした時、奥から背の高い3年生がA先輩をお姫様抱っこして保健室まで連れて行ってしまった。
...あぁ、きっとあの先輩がA先輩が好きな人だ。
....結局俺は、勝てなかったんだ。
「くっそ....」
小さくグラウンドを叩く。
悔しくて、涙が出てきて思わずその場を逃げるように走り去る。
気がつけば、体育館裏で座っていた。
心は曇天のように暗く、沈んでいる。
「俺だって...俺だって先輩のことっ、」
そう言って木を叩こうと拳を振る。
しかし、拳に伝わった感触は痛みではなく温もりだった。
思わず顔を上げると、そこには 危ねーよ と笑う海斗がいて
俺の拳は海斗に守られていた。
松倉 「俺が来たからって我慢しないで泣いていいから。
ここなら誰もこねーし。」
「....っ、」
今まで溜まってきた全てが吐き出されるように涙に変わってこぼれていく。
止めようとしたって、誰も止められない。
先輩に対しての全ての感情が溢れ出す。
海斗は、横に座って何かが吹っ切れたように微笑んでいた。
「...先輩のことが好きで、俺頑張って振り向かせようとしたけど...っ、
やっぱり勝てないや...っ笑」
松倉 「...お前充分頑張ってたよ。頑張りすぎてたかもしんねーけど、笑」
「....まじで、海斗好きだわ。ありがとう」
松倉 「...え?Aの次俺!?」
「はっ!?ちげーよ!笑 友達として!笑」
松倉 「あぁ、そーゆーこと?笑 マジで俺かと思ったわ。ビビった〜」
「...なんか、泣いてるの馬鹿みたいだわ、笑
顔洗ってくる!」
冷たい水で涙を洗い流す。
ふと顔を上げると空は雲ひとつなく、晴れ渡っていた。
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作者名:ニモ | 作成日時:2020年11月17日 20時