私がゲームを辞めた理由1⃣ ページ10
「…私は、そういうのいい、かな…」
「…Aちゃん、何かあったのかしら？」
「うん、そうだよ。何か話してよ、友達同士に隠し事はよくないよ」
耳郎さんの言葉に皆頷いてくれた。
(友達、か)
あんなに関わってなかったのに、皆優しい、な…。
「…うん、実はね」
私はぽつりぽつりと話し始めた。
🌟 🌟 🌟
あれは学校が始まる半年前のこと。
私はいつものようにFF14で遊んでた。
「ねー！！お金ないから地図行きたい！！」
「「いいねー！！」」
いつものように一つ返事で乗ってくれる友人達。所謂『イツメン』。
その日もダンジョンへ行って楽しく終わると思ってた。
「そういえばシャルロッテちゃん、固定に興味ない？」
「固定…？何の固定？」
「最新ダンジョンのアイテムをゲットするための固定だよ。いつも遊んでる皆も参加してるよ」
固定、それはある目的を持って集まったPTのこと。
(固定って仲間割れしやすいって聞いたけど…、皆がいるから大丈夫かな？)
「うん、皆がいるなら」
私はそのとき安易に返事したことを後悔した。
それは固定が始まった当日、事前にボイスチャット(VC)があるからDiscordを入れておくように言われてた。
当時はまだお父さんがいたから私は話さなかったけど、固定が始まって一ヶ月経とうとしてたある日、その日はたまたまお父さんがいなかった。
「こんにちは〜」
「こんにちは〜」
皆で挨拶しあう中、私も勇気を出して「こんにちは」とVCで喋った。
そのときだった。
「すっごい可愛い声が聞こえた、誰？！」
「え、えと、シャルロッテです」
「VCするなんて珍しいね〜。今日お父さんは？」
「出張でいないんです」
「なるほどー、若いよね？」
「あ、はい。中学生です」
「凄いな〜、だから可愛いんだ」
それからというものの、固定の空気は最悪だった。
私が失敗しても怒られないものの、他の人だとかなり怒られる。
それが見てられなくて、私は精一杯失敗した人達のフォローをした。
でも、その日は訪れた。
「シャルちゃんおはよ〜〜、そういえば好きなタイプってどんな人〜？やっぱ頼れるお兄さんとか？？」
いつものように行われる雑談。
最初の頃は適当に返してたけど、今ではこういう会話すらきつい。
(…でも、ここでこの人の機嫌を損ねると失敗した場合のフォローが出来ない…)
「え、えと…、よ、よくわかんないです」
「え〜？そんなことないでしょ〜〜。素直に言ってよ〜」
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作者名：でんきねずみ | 作成日時：2023年2月22日 21時
