【ヒロアカ】姫ちゃんは姫と呼ばれたくない【爆豪勝己】 (ページ9)

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あれからバスに揺られて数時間、私達は爆豪くんのご両親が予約してくれたキャンプ場に到着した。

「先生、今日はよろしくお願いします！」

始めて会った爆豪くんのお母さんは爆豪くんそっくりでとても綺麗な人。

「いえ、こちらこそ急にお邪魔しちゃって申し訳ございません」

大人たちが社交辞令の挨拶をしている中、私達も後ろで「よろしくお願いします！」と頭を下げた。

「わー、すごーい！！普通の家みたい！！中入ってみよ！！」
私は芦戸さんに腕を引かれてログハウスの中に入った。

確かにそこは木のぬくもりが溢れる立派なログハウスだった。
高い吹き抜けがとてもオシャレで開放感がある。

「凄く広いわね、部屋に行ってみましょう？」

室内地図を頼りに行った場所は二段ベッドがいくつも置いてある広い部屋。

「私、こういったベッドは始めてですわ…！」

皆で寝ることが楽しいのか八百万さんの目が輝いてる。

「そういえば私も。ゲームばかりで外でこうやって遊んだことなかったなぁ」
「私一番上がいいー！！」

芦戸さんは勢いよく一番上のベッドに荷物を置いた。

「それじゃ、三奈ちゃんの下のベッドは私がいただくわね」
蛙吹さんも下の段に荷物を置いた。

(私は何処にしよう…？)

部屋の中を見渡していると、何やら変なボタンがあった。

(あ、もしかして電気かな？)

とりあえずスイッチを押した瞬間、天井から凄い音がした。

「わ、何あれ…！！」

天井の木板が外れ、自動で天窓が出てきた…！

「わー、すごーい！！夜は星見れるね！！」
「凄くオシャレね、夜が楽しみだわ」
「せやね。あ、デクくん達にも教えに行かん？」

すると、芦戸さんがにやにやしながら麗日さんの頬をつついた。

「大好きな緑谷に言いたいんでしょー？」
「そ、そんなんやないよ！！」

麗日さんは顔を真赤にしながら首を横に振った。

(…麗日さんって緑谷くんのこと好きなんだ…！！)

私は始めてクラスメイトの秘密が知れて、つい嬉しくなった。

「姫ちゃんは爆豪に言わなくていいのー？」
「…Aさんは轟さんですよね？」
「…へ？」
「そうね、Aちゃんは爆豪ちゃんと轟ちゃんどっちが好きなのかしら？」
「そ、それって恋人として、だよね」
「もっちろん！！」

クラス全員の視線が集まる中、私はじっと床を見つめた。

(きっと、誰かを選んだりどっちも選ばなかったら友達の関係は終わるんだ)

私の脳裏に嫌な思い出が蘇り、胸が痛くなった。