＊素直じゃなくても伝わってるよ ページ19
渡「俺さ、なんか。
Aの部屋の合鍵とかもらって
安心してたのかも、」
「ん？」
渡「なんか、俺じゃないやつが普通に
寝室入っていくのも
部屋に来慣れてる感じがあるのも、
いや、まあ。従兄弟だからあれだけど。
その、あの時はそんなの知らないから
結構、キツかったっていうか」
「いきなり知らないやつ来たら
ビックリするよね、」
渡「まあ、それもある。
でも俺勝手に来ること多いし
今までそういうの、なかったのがさ？
奇跡だったっていうか、その」
今まで俺がAの家に勝手に上がっても
こんな風に誰かと鉢合わせなかったのは奇跡だし
Aがそういう配慮とかしてくれていたわけで。
でも、もしまたこんなことがあっても
今の俺には何も言える権利ないし
「...これからだってないよ？」
渡「え？」
「なんか、権利とかそういうの
よく分かんないけど。けどさ、」
渡「、」
「なんで今更そこで迷子になってんの？
お前さん。今までめちゃくちゃ俺の行動に
文句つけてきてますけど、？」
渡「、あれ？」
「なんでここにきてそんなことでビビってんのよ」
変なの。なんてケタケタ笑うA。
そう言われたらそうかも。
今まで散々「他のやつにデレデレすんな！」
「ほいほいやめろ！」なんて好き放題いったり
時には蹴飛ばしたり、
え、俺やばくない？
「そんなんで嫌いになれるなら
もうとっくに俺たちの関係やばやばよ？」
渡「たしかに」
あれ？なんで俺あんなにグルグルしてたんだっけ。
あ、そっか。Aの家に行き来してるのが
自分以外にいると思ったらなんか、悔しくて。
でもそれをお前に伝えれなくて。
モヤモヤして。
そんで、それ以上に。
お前最近さ、
渡「なんか、お前最近
茅ヶ崎翔太になりませんかって
言わなくなったし」
「へ、？」
前まではすぐそうやって俺に言ってたのに
最近めっきり言わなくなったから、なんか。
寂しいっていうか、その。
渡「ちょ！今のなし！忘れろッ！」
「...」
渡「、A？」
「えっと、キミがさ。ついに
茅ヶ崎翔太にしてみろって俺に言ったじゃない。
え、それが答えだと思って」
渡「...は？」
「茅ヶ崎翔太になる気あるんだって
勝手に解釈してたから、あんまり言い過ぎたら
お前絶対逆ギレするって、えっと。あれ？」
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作者名：ちーたろ
| 作成日時：2023年4月9日 20時
