岩本さん家のペット事情《黄》 (ページ3)

今日:15 hit、昨日:30 hit、合計:107,015 hit

＊キミの名はページ3

あの日、連れて帰ってきた女の子は
少し。いや、かなり変わった子だった

突然、見ず知らずの俺の家に
泊めてくれと言ってきた彼女を
追い返すことなんて容易にできたのに
何故かそれができなくて
当分の間、我が家で面倒を見ることになった

こんなこと会社やメンバーにバレたら
大変なことになることは分かっていたのに
昨日から自分の行動が信じられない。

岩「えっと、とりあえず俺は岩本照です。
　 SnowManっていうアイドルグループに
　所属してます。知ってたりする？」

　「...ごめんなさい。ちょっと疎くて、」

岩「そっか...。あ、キミの事はなんて呼べば
　いい？」

　「...なんでも」

岩「え？」

　「ペットなんですから岩本さんが
　呼びたい名前、つけてください」

タマでもポチでもなんでもいいです。
なんて普通の顔をしていう目の前の女の子。
迷惑料を置いていくような常識はあるくせに
こういうところはとてつもなく破天荒だと思う

呼びたい名前。そういわれて出てくるのは
最低だけど元カノのあだ名で、
後にその名前をつけたことを後悔する
ハメになることをこの時のオレはまだ知らない。

岩「じゃあ...。みぃ」

　「みぃ、？」

気に入りました！なんて笑うみぃ。

その後、いろんなことを話していくうちに
みぃの年齢が俺より５つ下なこと
この春までは働いていたけど今はフリーターなこと
実家は北海道だから寒さには強いほうだということ
が分かった。

SnowManについては本当に知らないみたい
なのでもう少し知名度を上げなくてはなんて
ちょっと心の中で燃えたのは秘密。

お互いこれから生活していく上で面倒だから
堅苦しい敬語はやめようという決まりを作ったら
すぐに仕事に行く時間になってしまった。

岩「とりあえずこれから仕事だから
　適当に家のもの使っていいから」

　「待って！」

岩「え？」

　「通帳とか印鑑とか！盗まれたら困るもの
　ちゃんと持って行ったほうがいいよ！
　あと、なんだろ。わたしを逃げ出せないようにするとか！」

岩「盗んだりするような子はそんなこと
　言わないよ？」

　「！」

岩「じゃあね。みぃ。
　行ってきます」

ねえ、みぃ。キミはよく俺のことを
お人好しすぎる！って怒ってたけど
そんなことないんだよ。

きっと同じ状況が起きたとしても
俺がこれだけ優しくしてあげたいって思うのも
連れて帰らなきゃって思うのもキミじゃなきゃ
そんな気すら起きないんだ。