リナリア (ページ36)

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「…ん、蓮！まって、」

蓮を呼んでも、彼は振り返ってくれることはなくて

隣の彼の腕をほどいて、

「送ってくれてありがとう、もう大丈夫だから、」

何か言いたそうな彼にそう言って

蓮を走って追いかけた

「蓮…、」

『なに』

蓮の腕を掴んで、蓮を引き止めると

蓮は振り返らないまま

冷たい声で返事をした

「…っ、」

蓮になにを伝えたらいいのか、

伝えたいことはいっぱいあるのに

言葉が出なくて

その代わりに、涙が出てきて

『…誰？、さっきの男』

振り返った蓮は、少し冷たい声でそう言った

「会社の、同期…、」

『付き合ってんの、？』

「…そんなんじゃない！」

蓮には、どうしてもそう思って欲しくなくて

誤解をされたくなくて

つい、強く言ってしまった

とりあえず、蓮の手を引いて

部屋に入って

しばらく沈黙が流れて。

蓮の表情は、怒ってるような、寂しいような

蓮の気持ちがわからなかった

「どうして、うちの前にいたの、？」

『お前が、…避けるから』

『会いたいから、会いに来た、…だけ』