ウソつきはアイドルの始まり (ページ22)

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そこにはフリフリのかわいい服を着て髪は長く、三つ編みにした美人な女性がたっていたのだから。

まつ毛は長く、不安そうに伏せられた目は憂いを帯びており、どこか色気を含んでいた。

その女性は僕に気がつくと助けを求めるように僕に近づいた。

『く、クリス、どうしよう。こんな格好するとは思わなくて』

きゅっと僕がきているパーカーの袖をにぎりしめる彼女は英語で喋って居る。

彼女はAだ。
その姿はどっからどう見てもヨジャアイドルでも見ないほど仕草は可愛くて見た目は美人な女性だった。

彼女のメイクの担当をしているのは専属のメイク師で、彼女が絶対的信頼を置いている相手。
女性だということも知っており、初めて彼女が女装をするということで気合を入れたのだろう。

自分より身長が少し低いのと前のめりで自分の袖を握っているため、若干上目遣いとなっている。

「クリストファー？」

いつものように自分に頼るAは自分が何も言わないを不安に思ったのか首をこてんと傾げた。

いつもと同じ仕草なはずなのに一つ一つが彼女を女性だと証明していくようで。

『大丈夫、似合ってる。恥ずかしいなら僕の後ろに隠れてなよ』

『本当に？クリスが言うなら信じるからね？』

そして遠慮なく、というように僕の後ろに隠れるときゅ、っとパーカーの袖を握った。

「可愛い...」

つい、呟いてしまうその言葉。
本当は誰にも見せたくないよ、こんなに可愛い君を。

『スカートなんて小学生以来だよ...』

『はは、そうなの？とっても綺麗だよ。可愛い』

僕がそう言うと控えめに『あ、ありがとう...』と声を漏らした。顔は見えていないがおそらく照れているのだろう。
本当に可愛い。

しかし、撮影場所にはあっさり着いてしまうもので。

「みんなおまたせ〜」

皆がわいわいと話しているところに声をかけると「遅い〜」などヤジが飛んでくる。

「ごめんごめん」と言うと僕の後ろにいるAに気づいたのかみんなで彼女に注目する。

「自分のせいだから、チャニヒョンを攻めないであげて」

そう言って少し顔をのぞかせる彼女を見た瞬間、皆が目を見開いた。

「わ、ぁ....本当に？」

そう呟いたのはハニ。
驚くのも仕方ない。いつもは男性にしか見えない彼女が今は女性にしか見えないのだから。

リノに関しては固まってしまっている。
そりゃあその反応にもなってしまうよ。可愛いんだから。