ウソつきはアイドルの始まり (ページ21)

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女の子:🐺side ページ21

Aは女の子だ。

しかし彼女は見事に男を演じている。
最近は化粧をしていたら男性にしか見えない。

身体も鍛えて振る舞い方すら男にしか見えないのだ。
すっぴんは可愛らしい顔をしているがそれは日本人だから幼く見える、と言われたら納得いくだろう。

誘った時に女の子、だと言われた時は衝撃だった。
ずっと一緒にいたはずなのに全く気づかなかった。

確かに当時は少し華奢で中性的な見た目。
時々女の子に見えることがあったけど彼女は他の練習生や先輩方を「オッパ」や「オンニ」と呼ばないし自分が紹介した人以外親しい人はいないみたいだった。

女の子だと知った瞬間、彼女は女の子にしか見えなくなった。

何かあれば自分を一番に頼る姿は可愛いわけで。
スキンシップをしてくる彼女にドギマギしてしまうのも事実で。

メンバーの中で自分だけしか彼女が女の子だということを知らないはずなのに他のメンバーですら彼女の愛らしさにゾッコンなのだ。

時々リノとスンミンに関しては本当は気がついているのではないかと思うほど。

でも彼女が頼るのは自分で。
その事実に少し、愉悦感があった。

でも彼女の振る舞いは女性だという事実を薄めていくのは十分だった。

そんな中、STAYの3回目の誕生日記念にスッドゥン家族をやろうと言う話になった。

2年前、彼はチャンビンと僕のマンネ、0歳の赤ん坊の妹役だった。
赤ん坊役だったAはおしゃぶりを咥えて死んだ目をしていたことを今でも覚えてる。いつ思い出しても笑える。

そして今、2年の月日が経ち、2歳の妹役をやることになったA。

ぞろぞろと現場には化粧を終わらせたメンバーが集まってくる。少し遅れてリノが来た時、みんなざわついた。

「わあ、何！？」

「ヒョン...わぁー…綺麗...」

「ははは」

メンバーにそんなことを言われてかわいた笑みを浮かべるリノ。確かに身体は頑丈な男だが顔はとても美人で自分もリノの姿に驚いた。
自分も綺麗だと褒めるとすごく嫌そうな顔をされた。可愛いヤツめ。

しかし、皆の目線はリノに向けられているが、なかなかAが姿を表さないため、彼女を迎えに行くことにした。

するとAの楽屋から声が聞こえた。

「メイクヌナ...ほ、本当にこの姿で皆の前に出るんですか...」

いつもより上擦った声をしており、どうしたのだろうと楽屋を覗いたところ目を疑った。